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パームオイルの問題を再確認する

/第2回共同リサーチ:「人と環境に厳しいパームオイルを避ける方法」Vol.1

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伴昌彦 東京都
day
2008-04-26
 

 第2回共同リサーチのテーマは「人と地球に厳しいパームオイルを避ける方法」でした。パームオイルは食品や洗剤など様々な用途の製品で使われています。植物性ということで、なんとなく環境に優しいイメージがあり、そこをセールスポイントにした製品もあります。しかしパームオイルには、「環境にやさしい」とは正反対の一面があることも指摘されています。

<問題1> 環境を破壊するパームオイル

 パームオイルを使用した洗剤には、しばしば「植物性なので分解性がよく環境に優しい」という宣伝文句が用いられますが、一概にそうは言えません。パームオイルの原料になるオイルパーム(油やし)のプランテーションを作るために、貴重な熱帯林が大規模に開発され、消滅し続けているからです。

 また、近年パームオイルはバイオディーゼル(バイオ燃料の一種)の原料としての需要も高まっています。成長過程において二酸化炭素を吸収する植物由来のバイオディーゼルは、地球温暖化を防ぎ、「環境に優しい」とされていますが、実はこれも熱帯林の消失に拍車をかけているのです。

 パームオイルを含む洗剤が本当に河川への悪影響が少ないのか、バイオディーゼルが本当に温暖化を防ぐのか、それ自体も議論の分かれるところではありますが、仮にパームオイルが<消費地の>水質や温暖化問題の改善に貢献したとしても、<生産地>で大きな問題を引き起こしているとしたら、それは誰にとって優しいと言えるのでしょう?

<問題2> 人権を侵害するパームオイル

 「経済発展を遂げた先進国が途上国に自然保護を押し付けるのはエゴではないか」「現地の経済発展や人々の雇用を犠牲にして自然保護を主張するのは安直だ」という意見があります。「環境」をめぐる言説にそうした面があるのは事実かもしれません。しかし、熱帯林の先住民の苦境を知ると、これも一面的な見方に思えます。

 無秩序な農園の拡大は、先住民など立場の弱い人々から森や土地、伝統的な生活様式を奪ってきました。そのために、時には暴力的な手段すら用いられてきたのです。また、確かにパームオイルで生計を立てている現地の人も大勢いますが、オイルパーム農園は低賃金の劣悪な条件で移民を雇用し、必ずしも地域の発展に役立っているとは言えない場合も多く見られます。更に、農薬による労働者の健康被害などの問題もあります。

 私たちは、パームオイルの問題を遠い途上国における環境や人権の問題としてではなく、私たち自身の日常生活に結びついた問題として考えてみるために、毎日の生活の中で、以下の三つの簡単なリサーチをしてみました。参加したのはレアリゼのメンバーの10人です。

1. 買い物をする時、その製品がパームオイルを使っているかどうか調べてみて下さい。もし使用していれば、それを出来る限り、環境・人権上の問題のない(少ない)製品を調べ、それに代えてみて下さい。(例えばナタネ油、ゴマ油などの国産油を使用している、パームオイルでも環境・社会に配慮したものを使用している等)選んだ製品が、問題がない・少ないと判断した理由も出来るだけ詳しく報告して下さい。

2. パームオイル不使用でも選ばなかった製品があれば、その理由も報告して下さい。

3. 1の製品が通常のパームオイルを使用した製品との製品の価格差はどれくらいになりましたか?また、購入する際に苦労したことはありましたか?



 当初は、リサーチを通じて、パームオイルだけでなく、他の製品の持つ様々な問題も明らかになるのではないか、そして、それらの問題を避けて生活するために「どんな選択をしてどれだけ生活費がアップ(あるいはダウン)した」とか、「買い物にどれだけ手間がかかった」とか、「どのように生活が変化した」という、オルタナティブなライフスタイルの事例が集まるのではないかという想定をしていました。

 しかし実際にリサーチを始めてみると、様々な課題が私たちの前に立ちはだかりました。まずは「表示」の問題。その商品にパームオイルその他のどんな油が含まれているのか、表示を見ても良く分からないこと。また、原料が分かった場合にも、その原料は「環境」や「人権」について本当に問題が無いのか、という情報を得ることの難しさ。更に、食については「健康」という視点から問題を考えてきたメンバーも多く、「環境」「人権」に「健康」というファクターも加わり、どうやって正しい知識を得て、何を優先して、何を選べばいいのか、ますます悩みは深まります。

 こうした困難の中で行われたリサーチは、必ずしも我々の消費生活をどのように変えればよいといったライフスタイルの提案には至りませんでした。しかし、リサーチを通じて、メンバーが得た様々な疑問や気付きは、それ自体がこの問題を解決するための手がかりになるのではないかと考えています。


Vol.2 パーム油の表示がない!?(植物油脂という表示)
Vol.3 「公正」と「健康」という視点
Vol.4 私たちにできること
Vol.5 持続可能な生産の仕組・ライフスタイルの構築

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