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パーム油の表示がない!?(植物油脂という表示)

/第2回共同リサーチ:「人と環境に厳しいパームオイルを避ける方法」Vol.2

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伴昌彦 東京都
day
2008-05-05
 

 今回のリサーチで、この問題を始めて知ったというメンバーもいましたが、各自、普段の消費生活の中で色々工夫しながら、問題のあるパーム油を使わない方法を考えてくれました。その過程で各メンバーがぶつかった困難や、リサーチの中から出てきた様々な気付きや疑問を紹介します。

1.そもそもパームオイルは入ってるの?

 パームオイルは様々な所に使用されていますが、もっとも多い用途が食品です。そのため参加者の多くが食品でリサーチをしてくれました。ところが実際に調べ始めてみたところ、メンバーの多くはすぐ壁に突き当たってしまいました。問題があるパームオイルが使われているかどうか以前に、まずパームオイルが入っているのかどうかすら分からないことがよくあるのです。これは原材料の表示が単に「植物油」「植物油脂」としか示されていない場合が多いためです。

 植物油にはパームオイル以外にも色々あります。パームオイルの消費量は、日本では菜種油、大豆油に続いて第3位ですが、パームオイルは酸化しにくく、揚げ物に使ってもベタつきにくいという性質から、様々な加工食品で使われています。そのため植物油と表記のある商品の多くでパームオイルが使用されていることが予想されます。

 カナダで販売されているネッスルのホットチョコレートには、植物油脂の後に括弧書きで"MAY CONTAIN COCONUT,PALM KERNEL AND/OR SOYBEAN OIL(ココナッツ、パーム核および/あるいは大豆オイルを含む可能性あり)"と書いてあるそうです。何が入っているのか販売しているほうも明確には把握していないことが正直に書かれていて目を疑ったとメンバーは報告してくれましたが、それでも「植物油」としか書いていないよりだいぶましです。

“植物油脂”(日本)

“精錬パーム油(ビタミンEを含)”(中国)


2.他のオイルはどうなのよ

 ひとまず「植物油」表示のものはパームオイルグレーと考えて選択肢から除くと、世界のスーパーの陳列棚の加工食品(カップ麺、インスタント麺、スナック菓子、チョコレート、マヨネーズ、スパゲッティソース、カレールー、マーガリン等・・・)は、かなり寂しい状況になりそうですが、大豆油や菜種油などパームオイル以外の植物性油使用のものや、牛脂・豚油使用のものなど、それなりに代替できる商品もあります。

 リサーチの中でも、動物性油脂を使用したカレールーやカカオバターを使用したチョコレートなど、様々な代替品が挙げられました。しかし何人かのメンバーが懸念していたように、環境破壊や人権侵害などの問題は、パームオイル限定のものではありません。南米における大豆の生産でも、同様の熱帯林破壊や先住民の権利の侵害といった問題が生じています。
 また、菜種油の場合は議論の的になる「遺伝子組み換え」作物が含まれている可能性がありますし、BSEの問題が端的に示したように、畜産物の生産過程も多くの問題を含んでいます。

 油以外でも、ここであげた製品の中で、たとえばチョコレートでは、児童奴隷の問題があるカカオが混入している可能性も指摘されています。食物の生産をめぐる問題を突き詰めていくと「きりがない」というのが現実なのです。

3.自然食品店よ、お前もか

 では生産の過程から健康や環境に配慮した[自然食品店]や、生産者への公正な対価の支払や地域社会への貢献を目的とした「フェアトレード」製品の店の状況はどうでしょうか。これらの店の主要なターゲットは、前者が健康に関心を持つ人々、後者が社会的な公正に関心を持つ人々ですが、いずれも現在の食物の生産のあり方等に疑問を持っていることでは一致しているようです。

 第4回で報告するように、カナダのオーガニックショップでは、パームオイルを使わないフェアトレード商品が並んでいて、パームオイル入りでないものを探すのは難しくないそうです。日本でも、コンビニやスーパーで見つけるのが難しいパームオイルフリーの食品をこれらのお店で見つけることができます。

 しかし自然食品店やフェアトレード店の商品は、特定の地域の生産者や生産物の問題を解決するために開発された商品であり、必ずしも原材料の全てについて配慮がなされているわけではありません。コストを下げて通常の製品と競争するためには、原材料のある部分は価格の安いものを使用せざるを得ない場合もあるでしょう。したがって、日本では、このような店でもカレールーや菓子など、パームオイルを使用した商品もかなり見られます。日本に住むメンバーの一人からは「パームオイルの問題について、自然食品店の店主も知識がなく、(その問題について話すと)驚いていた」という報告もありました。(つづく)


Vol.1 パームオイルの問題を再確認する
Vol.3 「公正」と「健康」という視点
Vol.4 私たちにできること
Vol.5 持続可能な生産の仕組・ライフスタイルの構築

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