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私たちにできること

/第2回共同リサーチ:「人と環境に厳しいパームオイルを避ける方法」Vol.4

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伴昌彦 東京都
day
2008-05-19
 

 前回まで、パームオイルやその他の問題のある食品を、知らず知らずのうちに消費者が選択させられていること、またそれを避けることの難しさについて述べてきましたが、ここからは消費者としての我々に何が出来るかを考えてみたいと思います。

1.望ましい表示

 メンバーの多くが指摘した「植物油」という表示。これは健康に関心を持つ人にとっても社会問題に関心を持つ人にとっても、欲しい情報が何も得られない表示です。カナダ在住のメンバーの一人からも「(1)食品の健康面での安全性、(2)環境・人権に及ぼす影響のどちらのポイントでも正確で納得できる情報が少なすぎる」という意見がありました。

 そして「情報が誰にでも分かるような形で整理され、提示された上で、消費者の目の前に選択肢の全てが一緒に肩をならべてはじめて、本当の意味での「選ぶ」という消費が可能になるのではないか」という声がありました。同じメンバーがカナダのフェアトレードショップでホットチョコレートを探し、みつけたのがこの商品です。

 原材料を見るとパームオイルもココナツオイルも入っていません。原材料はオーガニックのスキムミルクやオーガニックのバニラといった、分かりやすいものがほとんどでしたが、Organic guar gum(グアーガム)、organic carob bean(イナゴマメ)gum という聞いたことのない材料が入っていたのでインターネットで調べてみた所、どちらも健康に影響がないか、あるいは健康によいとされる食品原材料だったそうです。更に、78%フェアトレード認定の材料使用で、また、一杯分に飽和脂肪が0.5g含まれ、トランス脂肪酸は0gと書いてあります。

 パッケージには、この商品を買うことがカリブと南アフリカのファミリー経営の小さな農家をサポートし、維持可能な(sustainable)農業に貢献する、といった情報が記載されています。

フェアトレードのオーガニック・ホット・チョコレート


 このチョコレートは、パームオイルをはじめとする健康面への影響の不明瞭な材料が入っていない点、原材料が全てオーガニックである点、フェアトレード商品であると明記されている点、そしてこうした情報がすべて分かりやすくパッケージに記載されている点で、大変評価できます。
 メンバーも、他の商品のように「おいしそうな飲み物のカラー写真がついていない代わりに、知りたい情報が全て記載されており、フェアトレードや持続できる農業といったものへの啓蒙的な情報まで載っていて、クエスチョンマークをそのままにして目をつぶって購入するといういつもの購入パターンとは違って、なるほどと納得して、とても安心感を持って購入することができた」とのことです。

2.消費者に求められること

 自然食品店では、スーパーと同様、単に「植物油」という表示の商品もあれば、具体的に「パームオイル」「菜種油」等と明記されたものもありましたが、やはり通常のスーパーより表示内容を詳しく見る利用者が多いと考えられ、全般に表示される情報は充実しています。例えば、油について「遺伝子組み換え作物を使用していない」ことを表示した商品も多く見られました。どんな情報が表示されるか、それは消費者がどんな情報を求めるかによると言っていいでしょう。

 勿論一足飛びに全ての商品に上記のチョコレートのような「表示」を求めることは困難ですが、そこに近付くためには、消費者自身が企業の発するイメージ戦略やその時々のマスコミ情報に惑わされず、真に健康・環境・人権に配慮した商品を欲しており、それに関わる情報を求めているということを主張していく必要があります。しんどいことに思えるかもしれませんが、自分で選ぶということは、誰がどうやって作って何が入っているか分からないものを受動的に買わされるよりも、主体的で面白い行為でもあります。

 オーストラリア在住のメンバーは現地のNGOの取組を調べてくれました。オーストラリアでもパームオイルの大量消費や表示の不明瞭さと言った日本と同様の状況があり、4つのNGO団体が連携して立ち上げた「パームオイル・アクション」は、消費者に下記の積極的な行動を求めています。

1.パームオイル使用商品を生産する企業にパームオイルの使用表示を求めるとともに「持続可能なパーム油のための円卓会議」(後述)を通して持続可能なパーム油の認証制度の早期確立に努めるよう、またそれが達成されないうちは代替油を使用するよう求めること

2.行政機関にパームオイルの表示義務を求めること

3.大手スーパー等の流通販売業者に持続可能でないパームオイルを使用している商品を取り扱わないよう求めること

4.パームオイル生産国の政府にパーム・プランテーションのために森林伐採を中止するよう求めること

 2や4は個人の行動としては、少しハードルが高く感じられるかもしれませんが、現在は大抵の企業がホームページからメールで意見を受け付けているので、1や3なら誰でも簡単に出来る行動です。企業も消費者からの意見で初めて問題の所在に気付くということもあるでしょう。

 ここまで企業に批判的な視点で記述してきましたが、国際的な分業体制の進んだ現在、加工業者や小売業者が原材料の生産の過程から全てを把握しているわけではなく、企業間の競争を生き延びるためには少しでも安価な原材料を求めざるを得ない面もあります。真に健康や環境、人権に配慮した商品を求める消費者が増えない限り、こうした状況は変わりません。


Vol.1 パームオイルの問題を再確認する
Vol.2 パーム油の表示がない!?(植物油脂という表示)
Vol.3 「公正」と「健康」という視点
Vol.5 持続可能な生産の仕組・ライフスタイルの構築

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