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持続可能な生産の仕組・ライフスタイルの構築

/第2回共同リサーチ:「人と環境に厳しいパームオイルを避ける方法」Vol.5

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伴昌彦 東京都
day
2008-05-26
 

 今回のリサーチでは、パームオイル全般ではなく、問題のあるパームオイルを避けた消費スタイルの可能性を目指していたのですが、商品から原材料の生産が環境や社会に及ぼす影響についての情報が得られないため、結果的にメンバーの多くがパーム油自体を避ける消費行動を取りました。しかし消費者にあるのはパームオイルを避けるという選択肢だけではありません。

1.持続可能なパームオイル

 リサーチがパームオイルの不買運動と見えてきたことに対し、その不毛さを指摘したメンバーもいました。確かに、上述のようにプランテーションが現地の住民の権利を侵害する事例も見られますが、パームオイル自体は、単位面積あたりの生産性の高さ、用途の多様性等、優れた特徴を持つ作物です。

 メンバーの1人は、Newsweekアジア版の2007年10月1日号の「欧米の自然環境保護団体などが大規模なパームオイル不買運動を行っているが、パームオイルの売上に生活を頼っている地元の人々はこうした先進国の安直な運動に怒りを感じている」という記事を紹介してくれました。この記事自体はごく短いもので「地元の人」が企業の経営者なのか、労働者なのか、投資家なのか、そうした情報は記述されていませんでしたが、既にパームオイルによって生計を立てている人が大勢いることも紛れのない事実です。そして世界中の人々の生活に深く入り込んだパームオイルをなくすことは非現実的です。

 不買への疑問を持ったメンバーは、パームオイルの不買ではなく、上手な利用方法の模索という方向になるべきではないかという意見を述べましたが、現地の人の利益になるように、かつ、これ以上森を破壊せず適正にパームオイルを活用していく方法が無いのか、考えてみる必要がありそうです。こうした考えの下にパームオイルの適正な利用の模索も数年前から始まっています。それが「持続可能なパームオイルのための円卓会議(RSPO)」です。

 この会議は生産者、小売業者、金融機関、NGOなどの様々な関係団体が集まり、持続可能なパームオイルについて話し合う場です。現在RSPOで熱帯林の破壊や地域住民の権利の侵害をせず、労働者の環境にも配慮した農園で作られたオイルを認証していく仕組みが構築されているところですが、認証された商品が出回るのは早くても今春以降になるため、まだ現在は利用できません。日本の企業でも三菱、サラヤ、ライオン、不二製油、伊藤忠、コープクリーンがRSPOのメンバーになっています。

 消費者はこうしたオイルの導入を求めたり、導入された場合にはその製品を購入したりして、問題のあるオイルからの切替えが進むよう企業を支援することが出来ます。しかし誰も興味を持たなければ、企業もわざわざRSPOに加盟して、持続可能なオイルに変えようなどと思いません。社会的な問題に本気で取り組んでいる企業に対して、消費者が正当な評価を与えることが必要です。持続可能なパームオイルを導入すれば、商品の価格は多少上がることも予想されます。それが普及するかどうかは、敢えてそういう商品を選択する消費者がどれだけいるかにかかっているでしょう。

 勿論、消費者はRSPO自体も盲信せずに厳しくチェックをしていく必要があります。「RSPOはCO2バランスや間接的な悪影響への対処方法について取り扱っていない」「社会や環境への悪影響を及ぼす企業がRSPOを隠れ蓑にしている」といった批判もあります。残念ながら、認証や表示を単純に信じていると、企業の販売戦略に乗せられるだけというのが現状です。それをどうやってチェックしていくのか、私達がこれから考えていかなければならない課題です。

 しかし、RSPOが作られたこと自体は、企業が全く環境や社会に配慮している姿勢を示すことすらしなかった時代に比べれば、一歩前進と評価してよいでしょう。

2.ライフスタイルの見直し

 今回のリサーチでは、自分のライフスタイルを改めて見直す機会にもなりました。外食中心の暮らしをしていると原材料についての選択肢が殆ど与えられないこと。リサーチを通じて、原材料に注目することで、外食や加工食品に頼った食生活、忙しすぎて自炊もできない暮らしなど、自然に自分のライフスタイルにも目が向いたようです。例えばポテトチップスは、どの店で買っても大抵パームオイルを使用していますが、スライサーで切ってサラダ油で揚げれば作れるという話を聞いて驚くメンバーもいました。

 また、パームオイルを問題のない他のオイルに切り替えるとなれば、国産に目が向く人も多いと思いますが、日本の油の自給率は2%しかないのです。現状では油の生産が、産業としては厳しい面があるのは否めません。しかし近年は循環型社会作りという視点から、菜の花プロジェクト(http://www.nanohana.gr.jp/index.php)といった、地域での取組も注目されるようになりました。これは菜の花を栽培し、食用の油として利用した後、その廃食用油を化石燃料代替のバイオディーゼル燃料として生まれ変わらせる取組です。消費だけでなく、生産に目を向ければ、自分の地域で行われる活動を応援してみるといった行動にもつながります。(2ページ目につづく)


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Vol.1 パームオイルの問題を再確認する
Vol.2 パーム油の表示がない!?(植物油脂という表示)
Vol.3 「公正」と「健康」という視点
Vol.4 私たちにできること

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