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食べ残しの持ち帰りがダメだって!?

/第4回共同リサーチ:世界のもったいないものVol.2

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三沢健直 松本市
day
2008-09-05
 

レストランでの食べ残し―――「私の買ったものを何故持ち帰れないのですか?」

 ロサンゼルスから昨年帰国したメンバーが驚きと共に報告してくれたのは、都内の日系ホテルのレストランで食べ残した大量のチョコを持ち帰りたいと言ったところ、断られてしまったというお話です。ロサンゼルスに住んでいたときには、着飾った人たちで溢れる超高級レストランから下町の中華レストランまで、どんなレストランでも「To go Box」という大きなバックが用意されていて、食べ残しを持ち帰るのは普通だったそうです。

快く持ち帰りさせてくれた外資系ホテルのアフタヌーンティー

よくある典型的なTo Go Box


 「自分が買ったものを自分の責任で持ち帰るんだから良いじゃない!」と彼女。それを聞いた私たちは、他の国々では食べ残しの持ち帰りが可能なのか、早速、世界でリサーチをしてみました。

 カナダのメンバーからは、バンクーバーのほとんどすべてのレストランで持ち帰りが可能との報告がありました。ただし、試しに日本人経営のラーメン屋さんでラーメンを持ち帰れるか聞いたところ、「できません」と言われたとのこと。一方、中華レストランではラーメンの持ち帰りも問題ないそうです。

 一方、ヨーロッパでは、多少ニュアンスが違うらしく、ドイツのデュッセルドルフのメンバーの経験では、エレガントなレストランでは持ち帰りの習慣はないが、チャイニーズ、タイ、ギリシャ料理などでは可能とのこと。フランスやイギリスでも同様で、エスニック・レストランでは可能とのことでした。

 さて、中国では、食べ残すのが礼儀と一般的に言われていますが、レストランでは持ち帰りが一般的。「これとこれ」と指をさせば、フーヤン(服務員)が手際よく料理を詰め込んでくれます。カナダのメンバーも同様の意見でしたが、もともと持ち帰ることを前提にした量を出しているようです。中国で食べ残す礼儀はあくまでも客として招かれた際のことで、自宅で米一粒残そうものなら、「アフリカの人たちが飢えているのに」と言って叱られるそうです。

 オーストラリアのメルボルンのメンバーからは、テイクアウトを行うレストラン以外ではあまり一般的ではないとの報告があり。一方、ラオス全域、スリランカ北部では持ち帰り、まったく問題なしとのことでした。

「ことなかれ主義」VS「自分で判断する力」

 筆者も、日本のステーキ屋で、たまたまポテトフライが余ってしまったので持ち帰りたいと言ってみたところ、店員は即答できず、奥で相談した後で「何があってもお客様の自己責任で宜しければ」との回答。さらに「今日はお客さんが少ないので、今日だけですよ」とのこと。以前、どこかのレストランで、「中毒になったりすると困るので」断られた経験もあります。どうやら中毒の責任を追及されたり、ニュースになってレストランの名前を報道されるのを避けたいと考えているようなのです。

 そんな折、あるニュースが報じられました。「福岡市教委が今年度から市立学校で給食の食べ残しの持ち帰りを禁じたところ、廃棄される残飯が月に約9トン増えた」とのこと(朝日新聞6月15日)。小学生の頃、給食のソフト麺やパンを持ち帰っていたことを思い出しました。

 最近の日本の小学校では、食べ物を捨てることをもったいないと感じる心を教えるよりも、中毒を避けたいという学校側の保身のほうが優先されているようなのです。『子供たちを少しでも無菌状態に近づけようとすること』と、『中毒するかもしれない食べ物を嗅ぎ分ける能力を訓練すること』、果たしてどちらが教育の役割なのか?と思わずにはいられません。

 名古屋の小学校で先生をしているメンバーからは、「給食の時間外では食べてはいけない」という規則があるため、大量に余ったデザートなどを給食当番の子供たちが「食べたーい」と大合唱しても渡さないそうです。その代わり、堆肥用になる残飯の重さを測定する、という作業があるそうですが、残飯の重さ測定が「もったいない」の感覚に結びつくとは言い難い、との印象を持っているそうです。

 一方で、お店の側が持ち帰りに対してスムーズに対応できないのは、店側の保身的な姿勢の他に、そもそも持ち帰りを求めるお客さんが減ってきたから、という理由もありそうです。子供の頃、家族で食事に出かければ食べ残しを持ち帰って、翌日のおかずにしていましたが、改めて振り返ってみれば、最近は持ち帰りをお願いすることがなくなっていました。

 ところで、日本でも、何人かのメンバーが学生だった90年代には、レストランや居酒屋で日常的に持ち帰っていたという報告もあります。読者の皆さんも、食べ残しが出た際は、試しに持ち帰りOKか聞いてみてください。ラーメンの持ち帰りは全世界的に難しいかもしれませんが、予想外のものが持ち帰れたら、ぜひコメントをお願いします。
(2ページにつづく)


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Vol.1 「世界のもったいないもの」
Vol.3 カーシェアリング・カープーリングとは?
Vol.4 土に還る容器「生分解性プラスチック」とは
Vol.5 コミュニティガーデンという試み
Vol.6 「もったいない」と文化~小さな自然を守るために~
Vol.7 家具や電化製品の交換(リユース)の仕組み
Vol.8 商品カタログ、ドレッシング
Vol.9 知識の伝承/価値とメディア
Vol.10 世界から消えゆく商店街

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