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カーシェアリング・カープーリングとは?

/第4回共同リサーチ:世界のもったいないものVol.3

leader from from
三沢健直 松本市
day
2008-09-11
 

「バスは貧乏人の乗り物だって?」

 「見栄」や「快適さ」が、「もったいない」に優先されるケースもあります。
 カナダのメンバーが報告してくれたバンクーバーのもったいないものは、自家用車の列。渋滞の多い時間には、まるでパレードのようにのろのろと進んでいて、しかも乗っているのはほとんどが一台に1人だけ。さらに車体が必要以上に大きくて、いかにも燃費が悪そうとのこと。二酸化炭素の排出を考えてみても確かにもったいない話です。

渋滞する車の列

 原因は、北米は車社会で、郊外でのバスや鉄道などの公共交通が発達していないことのようです。しかも、バスはあるのに、「バスは貧乏人の乗り物」というようなイメージがあるとか。同じようにオーストラリアでも、どこへ行くにでも車を使うという報告がありました。

 ロンドンのメンバーからは、小学生までは保護者による送り迎えが必須で、毎朝小学校付近の道路は大渋滞になるそうです。車を停めて学校の中まで連れて行くので、駐車スペースも一時的に大量に必要とのこと。送り迎えに費やされる時間、混雑する道路、定員を乗せない車の空きシートも「勿体ない」ですね。

 ところで、インドネシアのスマトラ島では、歩くのは貧乏人のすること、というイメージがあって、歩いて15分のところへ行くためにバスを何時間も待っている人が居る、という報告もありましたが、ここでも「見栄」が「もったいない」に優先されているようです。

 この問題の解決策として、メンバーが挙げたのは、1)自転車、2)カーシェアリング、3)カープーリング、4)公共交通の整備です。

1)自転車

 バンクーバーでは、マウンテンバイクにサイクリングギアを装備した本格的なライダーが多く、自転車通勤も珍しくないそうです。自転車用の道路が整備されているエリアもあります。フランスやオランダなどのヨーロッパの各都市でも、車道、歩道と別に自転車用道路が整備されている都市は多いです。自動車専用路が途切れた箇所には、白線を引いて自転車マークが印されています。

         自転車レーン

 だいぶ昔の記事で紹介した「カーバスターズ」というチェコ生まれの団体があります。「車のない社会」の実現を目指して、ポップで直接的な活動を行う団体です。以前取材したときに、「日本支部をやりたい人は居ないか?」と言っていました(関連サイトを参照)。

2)カーシェアリングサービス

 カーシェアリングというと、数人の知人が車両をシェアするというイメージをお持ちの方も多いと思いますが、北米やヨーロッパで広がりを見せているカーシェアリングサービスは、ある程度の規模を持った事業として行われていて、一見すると日本のレンタカーと似ています。これからご紹介するカナダのオートネットワーク協同組合のように非営利団体として設立されているところも少なくないようです。

 バンクーバーには、1994年に創設された非営利団体の「オートネットワーク協同組合(Co-operative Auto Network)」があります。加入時に$500のシェア(退会時に返却)と$20のメンバーシップ費を払い、一回の利用は1時間$2.50で、利用頻度によって異なる経費と1キロごとのチャージを払う仕組み。

*例えば一ヵ月の利用が81km以下なら月ごとの経費は$6.25、1キロごとのチャージは38セント。一ヵ月の利用が81-250kmならば経費が$15で1キロあたりのチャージは28セントといった具合。


 利用費にはガソリン代、保険、クリーニング代、メンテナンス、駐車場代、BCAA(British Columbia Automobile Association)のメンバーシップ代等が含まれています。利用には街のいろいろな場所に設置されているCo-operative Autoの駐車場をまず確認。もし、自分の家の近くにCo-operative Autoがあれば登録し、インターネットか電話で車を予約。時間になったら駐車場に直接行って、メンバー登録の時にもらうlock box keyで車の鍵を取り出し、そのまま車を使用できる。利用時間が終わったら同じ場所に返却します。

 また、1999年に創立されたZipcarというカーシェアリング会社は、全米をカバーしています。創設者がベルリンで見たカーシェアリングに触発されて起業したそうです。Zipcarに入会するとZipcardというICカードが送られて来て、インターネット・電話で予約をしたあと、Zipcarのステーション(駐車場)に行って車にカードをかざすと、車のカギが開くシステムです。ステーションが多数設置されている町もあります(ウェブサイトではATMと同じくらいの頻度で設置していると宣伝している)。

メンバーが近所を散歩していて発見したZipcar用の駐車場(車二台)

 Co-operative Autoを利用した人の話では、予約が取りにくかったり、駐車場が遠かったり、利便性に関してはいまいちということです。Zipcarの店舗展開はStarbucksのような感じなので(やはり営利企業だからなのだろうが)、利便性は良さそうとのこと。メンバーが旅行で訪れたサンフランシスコでは、街のあちこちにZipcar専用のステーションを見かけたそうです。

 サンフランシスコにはZipcarの他にも非営利団体のCity Car Share というカーシェアリングサービスがあり、利用者を二分しているそうです。街のあちこちでステーションやロゴをつけて走っているシェアカーを見かけたとのこと。

 実際に利用したことのある人に話を聞くと、1時間あたりの値段は安いし、駐車場スペースを確保するのがきわめて困難なサンフランシスコでは、車を所有せずに、必要な時だけ車を借りるこのサービスがとても便利だそうです。

3)自動車の相乗り協定(カープーリング)

 Car Pooling(カープーリング)と言われているもので、通勤の時などに、自分の行き先と同じ方面に車を運転して通っている人を見つけ、乗せて行ってもらうという方法もあります。

 バンクーバーの高速道路では、一台の車に2人(あるいは3人)以上の人が乗っている場合のみ走行できる専用レーンがあるので、交通渋滞を避けて効率よく運転できる効果もあるとのこと。
 Car Poolingのマッチングをするウェブサイトやサービスもあるそうです。(関連サイト参照)

 Car Poolingの場合、人間関係が鍵になります。狭い車の中に他人が入って来るので、なかなかデリケートなものがありそうです。場合によっては金銭の受け渡しもあるようですが(ガソリン代を半分負担するなど)、ご近所さん同士の助け合いという感じで金銭が関わらないケースもあるそうです。一度、最適なマッチ(目的地、住んでいる場所、経費等の負担の取り決め)が見つかってしまえば、持ちつ持たれつ、無駄を省いて時間も経費も節約できる一石二鳥の妙案になるかもしれません。

4)公共運輸機関

 ドイツのフライブルグやフランスのストラスブールなどの各都市では、市の中心にトラムを設置して中心市街地を歩行者専用とし、車両の乗り入れを制限しています。市内の空気環境の改善に加えて、歩きやすくなった市街地の活性化の効果もあり、日本でも富山市などがトラムを設置しています。
 これらの都市では、単に渋滞を減らす、排ガスを減らすと言うだけでなく、「歩行者が快適に過ごせる街づくりと市街地の活性化」という戦略が功を奏したように見えます。「もったいない」という感覚だけでは、「快適さ」や「見栄」に太刀打ちできないときに、別の快適さを対置するのは効果的な戦略かもしれません。


 ところで、現在自動車企業はバイオ燃料を利用した、「排出量ゼロ」のエコカーの開発を進めていますが、バイオ燃料の「排出量ゼロ」は、かなり詭弁に近いものがあります。たとえば優良なバイオ燃料として生産が急増しているパームオイルのプランテーション開発のために、多くの貴重な熱帯雨林が燃やされ、むしろ二酸化炭素の放出量は増えているとの研究結果が出ています。

 今日私たちが感じる「快適さ」や「かっこよさ」は、たまたま現在そうなっているだけで、必ずしも最終的でも、最高でもなく、もっと良い「快適さ」や「かっこよさ」があるかもしれない。その可能性を提示することが、この場合の「もったいない」を退治するヒントになりそうです。


Vol.1 「世界のもったいないもの」
Vol.2 食べ残しの持ち帰りがダメだって!?
Vol.4 土に還る容器「生分解性プラスチック」とは
Vol.5 コミュニティガーデンという試み
Vol.6 「もったいない」と文化~小さな自然を守るために~
Vol.7 家具や電化製品の交換(リユース)の仕組み
Vol.8 商品カタログ、ドレッシング
Vol.9 知識の伝承/価値とメディア
Vol.10 世界から消えゆく商店街

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