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コミュニティガーデンという試み

/第4回共同リサーチ:世界のもったいないものVol.5

leader from from
三沢健直 松本市
day
2008-09-28
 

私有地と共有地の共同利用

 勿体ないものはないかと歩いていて筆者が見つけたのが、区の運営するミニ公園です。住宅街の真ん中で突然発見しました。幅5メートル、奥行き10メートル程度のサイズで、一人用の据付椅子が3脚と、水のみ場、それから花畑にかなり大きなスペースを使っています。

 このサイズの公園には不釣合いに大きな看板があって、そこには、「犬を入れない」「野球・テニス・サッカー・ゴルフの練習を禁止する」、「自転車・バイクの乗り入れを禁止する」、「花火は禁止」「商業行為は禁止」「ごみは持ち帰りましょう」という6つの主旨のことが書かれています。平日の昼間だったためか、利用者はいませんでした。しばらく頭を捻ってしましたが、この箱庭のような公園の使い道を思いつくことはできませんでした。


 さらに、この公園に向って左側には、通り抜けできない私有地があって、バイクが一台置かれていました。向こう側は駐車場で、車の後部が見えます。駐車場とバイクが置かれているスペースの間には段差があって、歩いて通り抜けるのも難しそうですが、そもそも手前に柵があるので、入れません。もし右側のミニ公園に柵が無くて、バイク・自転車の通り抜け自由なら、サイズ的にはちょうど良い駐輪場になっていたかもしれません。

 隣り合ったこの二つの小さなスペースは、何よりも自分の境界線を守ることを第一の目標としているように見えます。設置された経緯や順番が不明なので、一概には言えませんが、どう見ても有効な使い方とは思えません。

 こんな使い方は「もったいない」と思った筆者は、「私有地と共有地を共同で利用した好例があるか」、世界のメンバーに尋ねてみました。

コミュニティガーデン

 幾つか寄せられた回答の内、公有地と私有地の共同利用の好例として、バンクーバーのメンバーからの回答が、一番楽しそうでした。下の写真は、メンバーの住む近所にある「コミュニティー・ガーデン」です。水をまいたり、何がしかの作業をしている人の姿がよく見られるそうです。


 メンバーが調べてみると、バンクーバーのあちこちに10カ所ほどコミュニティーガーデンと呼ばれるものがあることが分かりました。

 ウェブサイトの情報によると、おおまかな理念は「コミュニティーガーデンは公有の公園の敷地内等にあり、ご近所のグループを通して組織化されている。コミュニティーガーデンは、コミュニティーの発達、環境への意識の向上、人々の間のポジティブなインタラクション、コミュニティーの教育に貢献する価値あるレクリエーション活動と位置づけられている。
 この活動はNon Profit Societyによって運営されるコミュティー開発プログラムとして位置づけられ、協会のメンバーが個人的に使う野菜や花などを栽培できる他、ガーデニングへのアクセスのない学校や青少年団体・市民の参加を促すことが期待されている。また、オーガニックコミュニティーガーデンはバンクーバーの生態系の多様性を高め、ローカルな食品の生産に対する理解の向上に役立つ」とのことです。

 バンクーバー市の役割としては、コミュニティーガーデンの開発と運営に関する情報提供、興味のあるグループが土地を見つけるためのサポート(市の所有する土地、政府団体が所有する土地、民有地が対象)、土地の所有者と利用契約をする際の手助け、コミュニティー主導の教育プログラムの補助などを行っているようです。

公園の右奥にコミュニティーガーデンエリアが見える


 バンクーバーのメンバーの家の近くのコミュニティーガーデンは、畑は芝生の生えた広い公園の一角にあります。公園といっても、広い芝生のスペースと、子供用プールの跡地らしきコンクリートのスペース、あとブランコが数台とベンチがいくつかあるだけの、かなり殺風景なものです。

 犬をつれた人がここに来て、犬の首輪を取ってしばらく遊ばせている姿がよく見られるそうです。この地域は工業地域(小規模工場、問屋、倉庫、印刷/デザインオフィス、録音スタジオなど)の中に、ぽつんぽつんと民家が混じっているようなエリアで、公園の利用者は多くないのですが、この一角をコミュニティーガーデンにしたことで、活気が戻り、地域の治安向上にも役立っているように見えるとのこと。

 ネットで調べてみたところ、コミュティガーデンは、1970年代のアメリカで、荒廃したコミュニティを再生させるための試みとして始められたもので、必ずしも広い土地を必要とするものではなく、ニューヨークなどでは、ビルとビルとの間の猫の額のような土地でも実践している例があるそうです。(関連サイト参照)
http://www.eic.or.jp/library/pickup/pu020829.html

 筆者が見つけた小さな公園のスペースは、小さなコミュニティガーデンを作るには丁度良い広さのような気がします。この公園を作る際に、市民からの意見募集のような労力を使ったのだろうか、と思って品川区の公園設計課に問合せたところ、きちんと公聴会を開いて住民の意見を聞いたそうです。区によると、住民からは防災的な機能が欲しいとのこ意見があり、座る人が存在するとは思えなかった椅子様の物体は、実は「かまど」なのだそうです。

 さらに「隣の民家の駐輪スペース様の空間が無駄になってるけど」と言うと、「それは私有地なので、どうにもなりません」とのこと。お話を聞いた感じでは、住民の意見を聞こうという姿勢はあるけれど、コミュニティガーデンのような試みを通じて、コミュニティづくりをして行こう、というような気持ちはないようでした。

 といっても、これは行政側に期待することではなく、住民のほうが提案していくべきことなのでしょう。今度、公有の空き地を見たら、コミュニティガーデンにしてはどうかと言ってみようと思います。読者の皆さんも、ぜひ提案してみてください。結果をお知らせ頂ければありがたいです。


Vol.1 「世界のもったいないもの」
Vol.2 食べ残しの持ち帰りがダメだって!?
Vol.3 カーシェアリング・カープーリングとは?
Vol.4 土に還る容器「生分解性プラスチック」とは
Vol.6 「もったいない」と文化~小さな自然を守るために~
Vol.7 家具や電化製品の交換(リユース)の仕組み
Vol.8 商品カタログ、ドレッシング
Vol.9 知識の伝承/価値とメディア
Vol.10 世界から消えゆく商店街

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