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カイロプラクティック、整体、マッサージ

/第5回共同リサーチ:健康であるためのオプション~世界の補完代替医療~Vol.4

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三沢健直 松本市
day
2009-05-11
 

 前回は、「健康のためのオプション」のなかでも、世界で最も身近なオプションと言えそうな運動療法について報告しました。今回は、整体、カイロプラクティッなどのマッサージ系のサービスについて報告します。

カイロプラクティック、整体、マッサージ

 北米大陸から始まったカイロプラクティックは、独立した治療施設が多くある点で、フランスにおけるキネジテラピーの位置に少し似ています。カナダのメンバーの身近にもたくさんの治療施設があり、首や足首が痛いときに利用したそうです。カイロプラクティックは、骨格の歪みを正すことによって健康な体を作り、病気を予防・治療すると主張するもので、日本でもたくさんあります。

 アメリカでカイロプラクティックの施術を行うためには、2年から4年制の一般大学を卒業後に、カイロプラクティック専門の医科過程を卒業し、国家資格試験に合格する必要があります。カナダ、イギリス、オーストラリアでも法制化されていて安全性は担保されているようです。

 しかし、フランスのキネジテラピーとは異なり、カナダのバンクーバー州では、誰もが加入している公的な「一般的な健康保険」ではカバーされず、会社や学校などで加入する補助的な医療保険で一定額がカバーされるそうです。

 メンバーによると、「値段がそれほど高くないし、医療保険(extended health care services)で年間ある一定の金額までカバーされるので、行きやすい。効果が直接的に感じられる。日々のストレッチや姿勢など、指導してもらえる。足首の痛みが足の裏の土踏まずのカーブと関係があるということで、靴の中敷(orthotics)を作ってくれた。これもほぼ全額保険でカバーされた。」とのことでした。

 日本では、アメリカから入ってきたカイロプラクティックほかに、中国医学に由来する整体、日本で独自に発達した整体など、類似のサービスが乱立しています。取りまとめ人の暮らす商店街では、カイロプラクティック二軒、タイ式マッサージ一軒、中国式マッサージ一軒、スポーツ系マッサージ一軒、整骨院のマッサージが一軒もあって、数や種類の面では身近といえるかもしれません。

 ただし、日本では統一された教育機関や国家資格はなく、それぞれ独自の教育カリキュラムを持つものの、技術レベルや安全性について、ばらつきが激しいようです。指圧系を除くと健康保険も適用されません。

 カイロプラクティックは、日常の姿勢や歩き方などの生活習慣の改善方法についてアドバイスをしてくれます。取りまとめ人も、日本でカイロプラティックの治療を受けたことがありますが、首が凝っているのに「O脚を治しましょう」と言われて何故かO脚体操をしていました。
 運動療法にも通じるところがありますが、直接痛みを取るというより、痛みの原因となっている骨格の歪みを正す、という考え方なので、非常に間接的な治療、むしろ予防的な治療と言えそうです。首の凝りにはさほど効果はありませんでした。

 むしろ肩や首の凝りなどを解消するためには、整体が向いているような気がします。取りまとめ人も、肩の凝りを整体師にほぐして貰ったことがありますが、すっかり肩の凝りがほぐれて脱力してしまったことがありました。

 タイや中国などで行われるマッサージは、治療のためだけでなく、リラクゼーションのために行われることが多いですが、体の凝りをほぐし、心身ともにリラックスすることは、予防的な意味があるでしょう。
 日本のカイロプラティックの治療院でも、骨格の調整だけでなく、マッサージを行うのが一般的ですし、整体でも、上手い施術者にかかれば肩の凝りや疲労回復などには明らかな効能があります。これらは、総じて「マッサージ系」に分類される健康サービスと理解して良さそうです。

問題点

 上述のメンバーは、カイロプラクティックの欠点として次のように言っています。
 「本当にうまいのかどうか、判断が難しい。治療の終わりがはっきりしないので、ダラダラと通院を続けてしまうことになりがち。カイロにもいろいろな種類があるらしいが、そうした情報がよくわからないし、こちらも善し悪しを見極める目を持っていない。」

 別のメンバーは、日本の整体について同じようなことを報告してくれました。
 「ポジティブな点は、気軽に利用できて、症状が軽減できる点。ネガティブな点は、効果があまり持続せず、またしばらくすると痛くなって、行きたくなってしまう点(完全に治りはしない)。」

 ところで、マッサージ系のサービスの問題点で最も多く指摘されたのは、技術レベルの差が激しいことです。おそらく明確で統一された評価基準が存在しないことが原因でしょう。
 また、タイ式や中国式マッサージは、技能者の就労ビザが発行されないため、日本で開業しているのは実はアマチュアばかり。本場に行かないとレベルの高いサービスを受けるのは難しいようです。

 また、サービスを受ける側からすると、整体、カイロクプラティック、中式・タイ式マッサージ、オイルマッサージなどが、選択可能なメニューになっていることは良いのですが、一人の技術者がそれらの一つに特化する方が良いという理由はありません。むしろ、類似する色んな技法を学び、利用者の症状に相応しい方法を選択できるような施術者のほうが有難いと思うのですが、なぜかそれぞれの流派に特化した施術院が多いようです。

 健康保険に関して、日本では指圧師は国家資格で、医師の処方があれば保険が適用されることになっていますが、実際に利用したという話をあまり聞きません。
 また、整骨院では脱臼・捻挫などの場合には保険が適用されることになっていますが、取りまとめ人が時々利用しているマッサージ専門店は、小さい字で整骨院と書いてあり、通常のマッサージでも保険が適用されています。そこだけ見れば便利かもしれませんが、類似のサービスでありながら保険が適用されたり、されなかったりするのは、広い目で見れば、消費者にとって必ずしも良いことではないでしょう。

 北米大陸のカイロプラクティックも、一般的な社会保障が適用されません。フランスのキネジテラピー(運動療法)と比較すると、通常医療との連携が薄いようです。
 これは、キネジテラピーが、治療やリハビリとの関連が深いのに対し、カイロプラティックは予防的な側面が強いからかもしれません。あるいは代替医療に関する欧州と北米との考え方の違いが原因かもしれません。

 通常医療との連携の薄さは、特に日本のように統一された教育機関も評価基準もない国では、安全性に関する問題の原因になり得ます。多くの治療施設は、サービスの適応症状と限界をわきまえていると思いますが、中には「万病に効く」のような過大広告を謳っている施設もあります。現状では、本来、病院に行くべき症状であるにも関わらず、整体やカイロプラクティックで治そうとする人々が十分に保護されているとは思えません。

 それと反対に、通常の医療よりも、むしろ整体やマッサージ系のサービスが相応しいような状態もあるはずですが、フランスのキネジテラピーと違って、日本では医師が整体やマッサージを紹介するというケースを、あまり聞いたことがありません。

(6月9日再修正:「おそらく指圧系のマッサージ」と書きましたが、小さく整骨院と書いてありました。訂正いたします。申し訳ありませんでした。また、サムネイル写真の整骨院は、上で指摘したマッサージ店ではありません)


Vol.1 第5回共同リサーチ「健康であるためのオプション~世界の補完代替医療~」
Vol.2 伝統医療と補完代替医療 
Vol.3 運動療法 
Vol.5 針灸治療
Vol.6  漢方薬
Vol.7 ホメオパシー?
Vol.8 レイキ?
Vol.9 補完代替医療の特徴
Vol.10 補完代替医療の可能性(最終回)

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