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ホメオパシー?

/第5回共同リサーチ:健康であるためのオプション~世界の補完代替医療~Vol.7

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三沢健直 松本市
day
2009-05-28
 

 前回は漢方薬治療を取上げて、その可能性について検討しました。今回は、玉石混交の「代替医療」の中で、グレーゾーンに含まれるホメオパシーについて報告します。

ホメオパシー

 ホメオパシーと呼ばれる「代替医療」があります。括弧をつけたのは、ここまで紹介した補完代替医療とかなり性格を異にするものだからです。ここまで紹介したサービスが、効能の差はあれ、直接身体に働きかけるものであるのに対し、ホメオパシーはむしろ「心」に働きかけるものかもしれません。

 ホメオパシーとは、ある症状を持つ患者に、もし健康な人間に与えたら、その症状と似た症状を起こす物質をきわめて薄くしてわずかに与えることで病気を治療しようとする方法で、その物質が水中に存在しなくなるまで希釈したものをレメディと名づけて処方する方法と、一般に理解されています。しかし、このレメディにプラセボ効果以上の効果がないことは既に明らかになっているようです。

 それにも拘らず、特に欧州方面では、有効な医療の一つとして認められており、フランスでは健康保険が3割まで適用されるなど、一つの医療オプションとして成立しているようです。今回フランスのメンバーからも、ホメオパシーを日常的に利用している人の報告がありました。

 メンバーの中にホメオパシーの治療を受けた人が三人いました。その報告が大変興味深いものでしたので、そのまま引用します。

 『とにかく、こちらの話をすごく丁寧に聞いてくれる。ホメオパシーというのは「レメディ」という科学的には効果が証明されていない薬を処方されるだけのものだと思っていたのだが、実際にはその処方までに初回は2時間半、2回目以降も45分間くらいのカウンセリングがあった。もう何も話すことがないというくらい、具合の悪さに関すること(遠回しにしか関係ないことも)を説明させられた。

 ドクターのカウンセラーとしての腕はなかなかのもので、特に具合の悪さが精神的なものだったということもあり、話が核心に触れるとそこを更に掘り下げ、こちらにいくつもの重要な「気づき」を与えてくれたのが印象的だった。こちらもなんとなくはじめは「胡散臭いかもな…」と思いながら通院しはじめるわけだが、・・(略)・・クリニックは運営も雰囲気もとてもプロフェッショナルできちんとしており、他の医療クリニックがたくさん入っている医療ビルの奇麗で明るい一室にあり、胡散臭さはほとんどなかった。

 レメディも、もっとうやうやしく処方してくれるのかと思ったら、小さな袋に10粒くらいザラザラと入れたのを「はい」と最後に渡されて、その場で口にいれて終了という肩すかしものであった。レメディの効果は?である。
 どちらかというと、セラピーのおまけという感じで、効けば儲け物程度にこちらも構えていたわけだが、しかしこの最後の一押し「レメディ」があるとないとでは、プラシボ効果にきっと差が出るのだろう。病理が精神面のものである場合、こうした「信じて良くなる」おまじない的なプロセスは、科学的には証明が難しいだろうが、かなりの効果があるように感じた。』

 もう一人のメンバーも次のように報告しています。

 『一対一で、一時間半、じっくり話しを聞いてもらったことで、自分の中で問題が半分以上解決してしまったため、気分が楽になり、ちょうど治る時期だったのかもしれませんが、体がすっきりしました。レメディのおかげとは思えません。いわゆる自己暗示でしょうね。』

 このメンバーは、頭痛が続き、憂鬱な気分から抜けきれないときにホメオパシーを利用していますし、先のメンバーもやはり憂鬱状態のときに利用したそうです。これらの手記を読むと、ホメオパシーは、むしろカウンセリングの手法と考えるほうが良く、心因性の症状には、一定の効果があるのかもしれません。

 フランスのメンバーからは、風邪に効果があるという人々の声が寄せられました。日本では、風邪を鍼で治すという話を聞きましたが、風邪は栄養を採って休息すれば自然治癒するものですので、効能と言うのは難しいでしょう。通常医療でも、薬は熱や咳などの症状を抑えるだけで、風邪そのものは自然治癒しています。通常医療における風邪薬とは、症状を抑えて仕事をしたり学校に行ったりするライフスタイルのためにあると言えるかもしれません。

 ところで日本では、自然治癒する風邪のために大学病院に行ったり、昨今では緊急病院に駆けつけたりする人々が増えているようですが、これは限りある病院のリソースを浪費する行為として批判もあるようです。その意味では、医療保険制度の破綻を防ぐために、自然治癒による「治療」を何らかの形で導入する可能性も、あるのかもしれません。実際にフランスでも、ホメオパシー単独の治療施設というものは存在せず、通常医療の医師がホメオパシーの診察・処方をしています。レメディを処方できるのは、医師か薬剤師だけという制度になっています。

問題点

 ホメオパシーの問題点は、風邪のような病気ならまだしも、自然治癒しない病気や伝染性の病気などについて利用するのは非常に危険だということです。インドでは、ガンジーがホメオパシーを推奨したために、全国で代替医療ではなく主流医療として利用されています。インドのメンバーは、以下のように報告しています。

 『お腹を壊して2週間ほどずっと直らなかったため、大学のヘルスセンターで、ホメオパシーの診療を受け、薬をもらいました。全く効かなかったので、抗生物質を飲んだら1日で直りました。』

 このような細菌性の病気に加え、鳥インフルエンザのような非常に感染性が強く、致死率の高いウィルスに感染したときに、ホメオパシーを利用するのは、自分だけでなく家族や友人の生命までも危険にさらす行為です。2000年、アフリカ旅行の際にマラリア予防のためにレメディを処方されたフランス人が、マラリアに感染して危篤に陥ったというニュースがありました。


Vol.1 第5回共同リサーチ「健康であるためのオプション~世界の補完代替医療~」
Vol.2 伝統医療と補完代替医療 
Vol.3 運動療法 
Vol.4 カイロプラクティック、整体、マッサージ
Vol.5 針灸治療
Vol.6  漢方薬
Vol.8 レイキ?
Vol.9 補完代替医療の特徴
Vol.10 補完代替医療の可能性(最終回)

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