Group Reaearch

back
prev_btnnext_btn
title

補完代替医療の特徴

/第5回共同リサーチ:健康であるためのオプション~世界の補完代替医療~Vol.9

leader from from
三沢健直 松本市
day
2009-06-10
 

 これまで、メンバーが利用したことのある補完代替医療のサービスを具体的に取上げ、その可能性や問題点について考えてきました。今回は、補完代替医療の特徴について考えます。

ホリスティック医療(全人的医療)

 世界のメンバーが報告した補完代替医療には、三つの特徴があるようです。一つは、「病気を治す/症状を抑える」、のではなく、まず健康な身体をつくり、健康な身体が自らの力で病気と戦えるようにサポートする、という方法論です。もう一つの特徴は、「病気を倒す」、というより、「より良く生きるために、病気への対策を考える」、という医療の目的論です。もう一つは、通常医療を心理療法的なアプローチで支援・補完しようとすること。領域論とでも呼びましょうか。

 これらが、最近よく耳にするようになったホリスティック医療(全人的医療)と呼ばれる考え方のようです。

 この三つは、これまでの通常医療に不足していたものなのかもしれません。しかし、この特徴は、必ずしも補完代替医療にしか提供できないものでもないのです。たとえばフランスのメンバーが「フランス人の健康のためのオプション」の第一に挙げたのは「バカンス」でした。

バカンス

 フランスのメンバーの報告を引用します。

「一般に会社勤めの人(サラリーマン・サラリーウーマン)は年間に5週間の有給休暇をとることができます。また、これは期限内に消化しなければ、消滅してしまう有給休暇なので、(手元にきちんとした数字はありませんが)確実にほとんど消化されているものと考えていいでしょう。

 余談ですが、フランスの学校は休暇が多いので、子供のいる家庭では、「どの休みにどこへ行く」ということが、経済的なこと、親の有給休暇の日数などを含め、かなり前から家族会議の議題になるようです。

 海の好きな人は海へ、山の好きな人は山へ、田舎に引きこもって何もしない生活を楽しむなど、好きなこと必要なことを求めてバカンスの過ごし方はさまざまです。(パリには本当にいろいろな展示会があるのですが、一般向けに旅行先(国や地方)や旅行会社の集まる展示会も開催されています。)」

 こうやって人生を楽しむことは、精神的・身体的に健康でいるための実践の一つなのでしょう。もちろん、多くの日本人や途上国の人間にとって、バカンスはオプションには成りえないかもしれませんが、人生を楽しむためのオプションは、自分のできる範囲内で色々とあるはずです。

 アロマテラピーや温泉療法などの代替医療も、実際には休息とリラクゼーションがその効能の中心にあるのだろうと思います。

オーガニック食品、自然食品

 もう一つ、複数のメンバーが挙げたのは、オーガニック食品でした。

 オーガニック食品とは、無農薬・有機肥料で育てた農作物で、自然食品は無農薬だけでなく肥料も使わない農作物ですが、いずれも有害な化学物質が体内に入ることを避けた食品です。

 しかし、それだけではありません。学校の家庭科で学ぶ野菜の栄養価表がありますが、現在スーパーで購入するハウス栽培の野菜の栄養価は、あの表に記載されている基準値の数分の一程度しかないことが、以前から報告されているのです。

 それに対し、季節に合わせて作られるオーガニック食品や自然食品は、同じ野菜でも数倍の栄養価が含まれていると言われます。今日の先進国では、化学物質の問題よりむしろ栄養価の問題のほうが、健康には影響が大きいかもしれません。
 ただし、栄養価に関しては、オーガニック/自然農法だから、というよりも、本来の季節に作られているか、ということの影響が大きいようです。またオーガニック/自然食品といっても、農家や団体によって方法論は異なるようなので、自分で調べて納得して購入することが大切でしょう。

 また、アメリカ国立補完代替医療センター(NCCAM)は、健康食品やサプリメントの服用について「天然物質、食品だからといって、安全であることを意味しているわけではない」と警告しています。健康食品の安全性については、関連サイトを参照ください。

 オーガニック食品の可能性は、無限の健康の追求ではなく、持続可能な循環型経済の追求であると理解するべきで、間違っても「食べれば食べるほど健康になる食品」ではないことは理解すべきでしょう。いずれにせよ、栄養バランスの崩れた食事を取っていては、オーガニック・自然食品を食べていても効果は期待できません。

精神科医

 ここまで調べてきて、補完代替医療は身体と心の双方に働きかける方法だということが分かってきました。しかし通常医療にも、類似のサービスがあるのです。それは、精神科医の治療です。フランスのメンバーによれば、フランスでは精神科にかかることが少しずつ身近になりつつあるようです。

 「(略)・・・わたしが身近に感じるのは、カップルの状況を『より良くするため』に二人でかかる、あるいは残念ながらカップルが別れなければならない状況に陥ってしまい、自分に自信を取り戻すために行くといったような『個人の精神的な健康のため』の前向きなケースです(友人や家族ではたいてい自分の味方になってしまうので)。
 ニュートラルな立場にある第三者に話をすることで状況をクリアにし、頭のなかをスッキリさせ、自信を取り戻すというところが大事なポイントなのだと思います。
 また、両親が別れなければならなくなってしまった時に、子供の精神の健康のために子供専門の精神科医にかかるということも増えているようです。」

 日本では、精神科に行くとなると他人目が気になることもあるので、心療内科という看板を出しているケースが多いようです。原因不明の憂鬱などの際には、精神科あるいは心療内科に話をしに行くのが効果的かもしれません。

先進国の特権

 途上国に住むメンバーからは、「補完代替医療は先進国の特権ではないか」という意見が寄せられたことも書き加えておきます。多くの途上国では、未だ医療施設も医師の数も圧倒的に不足しており、施設はあっても健康保険に加入できず、十分に栄養のある食生活を送れないため、病気に苦しみ、命を落とすたくさんの人々が存在しています。

 世界の多くの地域では、まず基本的医療を充実することが求められており、補完代替医療はその基本的役割を代替するものではありません。

 現在、世界的に流行しているインフルエンザ(H1N1)について、アメリカでインフルエンザ・パーティなる催しがアメリカで行われたというニュースがありました。子供たちに免疫を付けさせることを目的としたもののようです。今のところ、季節性インフルエンザと同程度の毒性とのことなので、栄養状態の良い子供であれば問題はないかもしれません。しかし、その弱毒性のインフルエンザが、栄養の行き渡らない子供たちや、持病を持つ子供たちにとっては死に至る病であることも忘れてはならないのではないでしょうか。*

*ただし、必要以上の対策を肯定するものではありません。優先順位の問題です。


Vol.1 第5回共同リサーチ「健康であるためのオプション~世界の補完代替医療~」
Vol.2 伝統医療と補完代替医療 
Vol.3 運動療法 
Vol.4 カイロプラクティック、整体、マッサージ
Vol.5 針灸治療
Vol.6  漢方薬
Vol.7 ホメオパシー?
Vol.8 レイキ?
Vol.10 補完代替医療の可能性(最終回)

このエントリーをはてなブックマークに追加





member
クリエイティブ・コモンズ メンバー募集 メルマガ 受託型リサーチ レアリゼブックストア サポーター募集 twitter mixi face Flickr