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町内会のない国

/第8回共同リサーチ:世界の町内会?Vol.4

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三沢健直 松本市
day
2011-07-18
 

 町内会はいらないと思っている人々に朗報です。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、デンマーク、フランス、フィンランドのメンバーから寄せられた回答を見る限り、欧米の先進国には、一般的な仕組みとしては、町内会は存在しないようです。例えばフランスのメンバーはこう言っています。

 「町内会がなくても支障を感じてはいないようです。地域の掃除に関しては、徹底して公共サービスが行なっていますし、ゴミ分別は個々人の責任とされています。」

 日本の町内会が担当するような、住民の出入りの管理、ゴミの分別回収や清掃、街灯の保守点検、行政からの広報などの事業は、すべて行政=地方自治体が行っているようです。費用について、例えばロンドンでは、

 「カウンシルタックスという地税があり、それを毎月納める(居住地区や、家の広さによって金額が異なる)。この地税が、ゴミ処理や街の清掃等多方面で仕様されている。納税は義務です。」

 とのこと。日本では住民税に当たるようですが、これですべてを賄うようです。

欧州のアパートメントの大家組合

 しかしアパートメント(マンション)においては、町内会に似た団体があります。フランスのメンバーによると、

 「似ていると思うのが、Co-Propriétairs(大家組合)という集合体です。これは、同じアパートやマンション、区画内に住居を所有する大家の集まりです。ただし、大家組合の主な目的は、共同スペースの利用方法や共同利用物の購入を話し合うことです。組合によっては持ち回りで代表も決めるところも多く、必要に応じて集合し話し合いを持ちます。」

 同様に、コペンハーゲンでは、英訳するとCo-opという名の自治組織が存在するそうです。

 「アパートメント全体(5~10軒程度)で、外装工事や共同敷地(廊下、階段、地下室など)が必要な場合に、住民全員の承諾を元に、Co-opが銀行からローンを借り入れたり、例えば迷惑行為を行う住民に対して、2回の警告後、好意が改善されない場合は、裁判にて強制退去などを争う事もCo-opはできる。

 この裁判の弁護士費用などもCo-opの予算から捻出される。アパートメントの売買に関しても必ずCo-opが介入し、新入居者に対してもCo-opメンバー全員一致の承認が必要となる。共同敷地の掃除人を定期的に雇い、冬場の雪かき業者の手配や、ゴミ処理等を手配する。Co-opの役員はアパートメントの中より選出される。予算は年度により変更する。(ローン借り入れの場合などにより異なる。)役員は2−3人程度である。1戸に1人が単位。」

 日本では町内会というより、マンションの管理組合に似ています。しかし強制退去のために裁判を行ったり、入居するためにはCoopメンバー全員の承認が必要というのは、日本の管理組合と比較すると団体としての結束と自立性が高いように思われます。フランスのメンバーによると、

 「活動内容としては、共同スペース(階段や廊下、建物の入り口付近など)の利用方法、共同利用物の購入や管理人の雇い入れに関することなどを話し合いするようです。(略)
 ちなみに、この組合での現在の議題は雇用した管理人さんがあまりにひどいので、今後の契約や対策などをどうするか、だそうです。」

 管理人さんの雇用契約などは、日本のマンションであれば管理組合と契約した管理会社が担当する領域でしょう。欧州の大家組合は、自立している分、大変かもしれません。

ロサンゼルスのアパート


ロンドンのタウンハウス

 同時開発の一戸建て家屋が並ぶロンドンのタウンハウスでは、40軒くらいの家で町内会のような自治会を組織しているそうです。ロンドンのメンバーによると、

 「活動は基本的には共同利用部分の管理。その他、タウンハウスで皆が平和に暮らすために必要なことを話し合う場。(略)例えば、袋小路にあるタウンハウスという立地で、駐車禁止のラインがない公道であるため、最近不特定多数の駐車が増えて問題だから、区役所に頼んでタウンハウス内を駐車禁止にしてもらってはどうかということで話し合いがあった。」

 「日本では街の道の清掃(どぶさらいとか)、電灯の管理などを町内会がやっていた記憶があるが、ここでは、自治体が定期的に道を掃除しているし、花のバスケット等の水やりや電灯の管理も自治体の仕事らしい。小回りの効く電気清掃車が早朝街を走っている様子をよく見かける。」

 ということで、一軒家ではありますが、性格はアパートメントの大家組合と同じようなもののようです。
 オーストラリアのメンバーからは、Body corporate という管理組合があるとの報告がありました。

カナダのコンドミニウム

 バンクーバーのメンバーによると、Strata council という所有者による自治組織があるそうです。こちらは、管理会社が関与することや、一定の条件で賃貸住民も参加可能であることが特徴です。

 「コンドミニウムに住んでいる住人(所有者)で構成する『strata council』というものがあります。これは、住宅の共有部分の管理や利用形態、修繕の費用等を住民の意志を反映して運営していくための組織です。一年に一度、住民全体を対象とした総会が開かれ、そこで役員を住民の中から投票で決めます。管理を委託する外部の会社を決めるのも、基本的にはこの住民の自治会です。

 会費は、管理費という形で徴収されていて、参加は基本的に義務だと思います。総会に出席しない人も多いですが、票を持っている人の33%が参加もしくは不在投票をしない場合には、議題の決定がなされない、というシステムになっています。」

 「例えば、「コンドミニウムのゴミ捨て場にホームレスが入り込んで瓶を集めたりしているのが見受けられたので、不審者を決して建物の中に入れないように」といった注意事項や、「窓の掃除」「駐車場の掃除予定」「火災報知器のテストの日程」といった連絡事項は建物のエントランスにある掲示板や、エレベーターの中の掲示板に掲示されるという形式で住民に知らされ、特に重要な事項に関しては、管理会社を通して文書で住民に通知が来ます。」

 マンションの共有部分の管理を行うなど、ヨーロッパの管理組合と基本的に共通ですが、バンクーバーの例では、一定のルールに基づいて賃貸住民も参加しています。調べたところ、カナダのブリティッシュ・コロンビア州には、Strata Property Actという法律があり、そこでStrata councilの役割を規定しているようです(リンク参照)。

ワシントンのアパート


参加する楽しさ、義務感?

 フランスのメンバーは、大家組合の活動に参加する動機について、こう言っています。

 「組合会長を押し付けられてしまった義母の話では、参加者の態度としては積極的、好意的な人もあれば、促したり、頼んでもなるべく関わりたくないという態度の人もいるとのことでした。

 配管工事の話をまとめるというような時期には義母も義務だからしかたないという心構えだったようですが、こういった組合に参加することで近所との交流も生まれお互い助け合うことができるようになるということで、かなり遣り甲斐があったそうです。」

 日本のマンション管理組合と似ているかもしれません。カナダのメンバーはこう言っています。

 「総会に参加することで建物の住民と顔見知りになったり、住民の集まりとして、一緒に住環境を整えているのだ、という協働の感覚が生まれて、(略)やはり住民の顔が少しでも見えているというのは安心感につながります」

日本のマンション管理組合と町内会(自治会)

 これまで、町内会に類似したものとして、欧米の集合住宅の大家組合を取上げてきましたが、実は、町内会と決定的に異なる点があります。それは、大家組合が、所有者の自治組織であるのに対して、町内会は住民の自治組織であることです。

 そのために日本のマンションでは、管理組合と自治会(町内会)の両方が存在するケースがあります。川崎市のマンション(198戸)のケースがそうです。

【管理組合】 ――― 資格は区分所有者(所有者から借りている住人は参加できない)
8基のエレベーターから各1名、計8名の役員が選出され、
理事長、副理事長1(総務・共有施設)、副理事長2(防災・防火管理者)、書記、会計、駐車場、植栽、保全小修理の各担当となる。

【自治会】 ――― 全世帯参加(所有者から借りている住人も参加)
8基のエレベーターから各1名、計8名の役員が選出され、
会長、副会長、防犯・防災、体育、青少年、福利・厚生、広報、総務の各担当となる。

 という二つの組織が一つのマンションに存在し、両方の活動に参加しなければならないそうです。

 次回は、町内会に似た活動についてです。


Vol.1  世界に町内会はあるのだろうか?
Vol.2  町内会とは何だろう?
Vol.3  途上国における町内会
Vol.5  町内会に少し似た活動

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