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身の丈アートの喜び ~豊中インキュベーションセンターMOMO~

アートによるコミュニティづくり

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山野修平
day
2004-06-15
 

1.小さな集いがつくる喜び

 ―MOMOの雰囲気―

 昨年9月から、豊中インキュベーションセンターMOMOでインターンをしている。大阪芸術大学の大学院で研究をしているのだが、セオリーどおりの座学スタイルにうんざりしてしまったからだ。

 MOMOは通常のインキュベーションセンターと比べるとかなり異なる部分がある。地域の問題解決をビジネスにする、いわゆる『コミュニティビジネス』を行う起業家が入居しているところが特徴だ。自立を目指す市民と企業、そして行政が協働し、コミュニティファンドや職業訓練、インターン制が一体となって、コミュニティビジネスを育成する仕組みを創り出している。

 元は豊中市の公民館だった施設だが、その移転に伴い、豊中ならではの街づくりを中心とした地域密着型ビジネス拠点を作りたいと、市は全国で起業家育成を行っているWWBジャパン(世界女性のための銀行日本支部)に、その運営を依頼した。そしてMOMOが始まった。 

 僕は今、中古品をペイントしてリサイクルする起業家さん、大学のサークル、市民と協力して行ったMOMO企画:「ペイント自転車による防犯システム」の仕事や、「働きたくなる楽しい職場作り構想」を掲げ、MOMOの内装を手がけ、遊び場と仕事場を融合させた空間づくりを行っている。インターンといっても企画から実行まで、責任を持ってやらせてもらっている。

[賑やかな作業]

 アートに関わるものを活動の主軸にしているが、衣食住・健康スポーツ・育児や福祉など、様々なコミュニティ・ビジネスの展開と横断的に関わっている。ここに来るまで、起業もコミュニティ・ビジネスも何も知らなかったのだが。

 よく晴れ渡った休日に、MOMOへ行く・・・。ある日の一ページ・・・。

 朝。手作りの石窯がMOMOの軒先に見えてくる。スリランカで「糖尿病に効く」と言われる粉でパン作りをする主婦起業家がニコニコしながら、調理場と外をバタバタと行ったり来たり。火加減のころあいを見て、特性ホットドッグを焼きはじめ、息子や近所の子供が窯の周りをちょろちょろと遊びまわる。

 お昼前、MOMOの軒先の階段に情熱的な音色が響く。フラメンコギターと抜群の腕を引っ提げ、音楽で仕事作りを夢見る起業家さんが弦を弾く。傾斜がキツイだけの物々しい階段が優しいステージに変わった。

 すると、素朴な窯のかたち。焼けるパンの匂い。ギターの音色に誘われて、通りすがりのお客さんが続々とやってくる。

 晴れているので、ダンスホールの扉も開け放たれている。ラテンのリズムが聞こえ始める。ダンスのステップの影が横目にしっかりと映る。絵本作家の起業家さんがやってきて、手作りのポストカードを窓辺に置いていく。フェアトレードの雑貨カフェでは、薫り高いコーヒーを囲みに笑い声が聞こえる。

 無機質な職場環境に縛られ、コピーやお茶くみだけの一般企業のインターンシップとは異なり、MOMOでは、起業家さんの多種多様な仕事を身の丈の位置で感じることができる。その中で、感動的に見えるもの、聞こえるもの、匂うもの。小さな集いがつくる喜びの全てが、未来にあるべきアートシーンであると言ってよい。


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