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ナバホ国部族政府からの手記 第十五章 ~ナバホ国内の観光地 ~

leader from from
北川のぞみ アメリカ
day
2005-10-15
 

ナバホ国内の観光地

  ナバホ国内には有名な観光地がいくつもある。最も有名なのは何と言ってもモニュメント・バレーだろう。私が働いているシップロックから車で2時間半ほどのアリゾナ州キエンタという街の近くにある。ユタ州とアリゾナ州の境目付近である。ここはナバホ国部族公園に指定されており、広さは29817エーカーというとてつもないスケールの大きさだ。

 モニュメント・バレーはよくテレビで放映されたり、多くの西部劇の舞台にもなっているので、ほとんどの人には馴染みがあるだろう。ナバホ国ならではの広大な荒野に奇妙な形をした巨大な岩山が点在する。これらの岩山は2億7千万年前に形成されたものだそうで、見ていると人間の存在の儚さを思い知らされる。私は今年の5月末にここを訪れたが、あまりの観光客の多さに正直言って辟易させられた。早朝など、人のあまりいない時間帯に行くことをお勧めする。

キャニオン・デ・シェ

 その次に有名なのはキャニオン・デ・シェだろう。ここは日本ではあまり知られていないかもしれない。ここには小型グランド・キャ二オン、いった感じの渓谷がいくつもある。グランド・キャ二オンはあまりに巨大で凄まじい光景なので、見ていてとても現実とは思えないが、ここはサイズが小さい分、実感が湧いてくる。

 小さいとは言っても日本では考えられないようなスケールの大きさだ。キャニオン・デ・シェはアリゾナ州チンリという街のそばにあり、シップロックからは車で1時間半くらいの距離である。いくつも展望ポイントがあり、全部見て回るには丸一日かかる。夏は灼熱地獄になるので、あまりお勧めしない。渓谷の下へ降りてゆく道があるが、ここを歩いてゆくのは夏の間は命がけである。

 私が2003年7月に初めてここを訪れた際、立っているだけで全身の水分が蒸発してゆくような感覚を覚えた。水を飲み続けていないと、すぐに脱水症状を起こす。しかし、景色は圧倒されるほど美しい。深い渓谷の下の方にアナサジ(ナバホとプエブロインディアンの先祖)の遺跡も見える。つい先月(7月)にもここを訪れたが、あまりの暑さに途中で見るのをやめて帰ってきた。少し涼しくなる秋などに訪れることをお勧めする。

パウエル湖

 5月にはパウエル湖にも行ってきた。パウエル湖はアリゾナ州からユタ州にまたがる巨大な人口湖である。1963年にグレン・キャニオン・ダムが建設された際に形成されたとのこと。人口湖とは言っても、ピンクやベージュの岩山に囲まれた真っ青な湖は自然湖のようにとても美しい。

 釣りやジェット・スキーなどの水上スポーツを楽しむ人にはたまらない観光スポットだろう。ここは国立公園に指定されており、入場料10ドルを払わなければ、湖の近くには行けない。湖の周辺にはいくつもリゾートホテルがあり、ボートの貸し出しもしている。

アンテロープ・キャニオン

 パウエル湖のそばにペイジという小さな街があるが、この街の郊外にはアンテロープ・キャニオンという有名な観光スポットがある。ここのアッパー(上部)キャニオンは別名コーク・スクリュー・キャニオン(コルク抜き渓谷)とも呼ばれている。

 ピンク色の岩山の内部に何千年もの間、水や風によって形成された不思議な空間がある。その形はコルク抜きで削り取られたかのようである。上部に開いた小さな穴から太陽光線が差し込み、時間帯によって内部の色は変わってゆく。その光と影のコントラストはたまらなく幻想的で、写真家にとっては絶好の被写体だろう。ここは四輪駆動車でないと入って行けない場所にあるので、ツアーに参加することをお勧めする。

シップロック

 最後にもう1つご紹介したいものがある。ここは観光地化していないが、私が働く街の名前の由来となった巨大な岩山、シップロックである。何十キロ離れた場所からも見える山のような岩だ。この岩はディネの言葉で「翼のある岩」と呼ばれており、数々の伝説がある。

 一番有名なのは、この岩山の頂上に翼のある怪物が住んでいたという伝説だ。ディネの創生伝説の中に出てくる英雄である双子の兄弟がこの怪物を退治したことになっている。シップロックは約3000万年前の火山活動によって形成されたそうで、高さは600メールほどある。シップロックの麓には四輪駆動車でないと入って行けないような悪路を延々と運転していかないと、辿り着けない。

 一度だけ麓まで行ってみたが、あまりの神聖さ、神々しさに圧倒された。これは実際にそこに行ってみないとわからないだろうが、畏怖の念を駆り立てるようなエネルギーがある。私は怖くなり、走って逃げ出したい衝動に駆られた。ナバホ国もここを舗装してレストランや土産物屋を建設すれば大儲けできるのだろうが、神聖な場所はそのままにしておくつもりらしい。私もここはモニュメント・バレーのような観光地になって欲しくないと切に願う。


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