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外国人女性のための就職支援プロジェクト/スウェーデン

~オレブロ県によるプロジェクト~

leader from from
横山 渚 スウェーデン・オレブロ
day
2005-06-12
 

外国人女性の就職支援

 外国に移り住み、文化や習慣の異なる社会で職を得るのは、そう容易なことではない。ましてや、その土地における失業率が高ければ、なおさら「外国人」ということがハンディになることもある。(注1)

 スウェーデン中部のオレブロ県では、県当局が主導となって、外国人女性の就職を支援する試験的プロジェクトが発足した。地元紙Nerikes Allehandaが、初回プロジェクトの内容を特集した。(注2)

 このプロジェクトの目的は、スウェーデン移住後1年から3年程度の外国人女性を、労働市場に送り出す手助けをすることにある。対象者は、母国で高等教育を受けているか、またはそれに相応する能力のある外国人女性で、「移民のためのスウェーデン語学校」(SFI)を修了していることが参加条件となっている。メソッドとしては、いわゆる「抽象的な能力」(行動・態度・評価)を高めることに重点を置いている。

 参加者各人にメンターが付き、求職の手紙の書き方、採用面接へのアドバイスから、スウェーデン語によるコンタクトの取り方、ネットワーク作りなど、就職までのあらゆる面をサポートしてくれる。さらに、メンターを通して、各分野でスウェーデン社会がどのように機能しているかを知り、母国とスウェーデンとの文化的な類似点・相違点は何かを明らかにすることも、プロジェクトの目的の一つだ。

  2004年に始動した初回プロジェクトには、29歳から36歳までの5名の女性が参加した。それぞれの国籍は、フィリピン人、イラク人、ブラジル人が1名ずつと中国人が2名で、母国での職歴も、エコノミスト、学校教師、美容セラピストなど様々だ。

女性メンターたち

  5人のメンターも、全て女性。中には幼年期を外国で過ごし、19歳でスウェーデンに帰国した際に大きなカルチャーショックを受けた、というメンターもいる。参加者たちは、このような豊富な社会経験をもつメンターを通し、スウェーデン人やスウェーデン社会を垣間見ることができる。また、スウェーデン滞在期間も短く、友人もそう多くない外国人女性らにとって、身近にメンターという相談相手がいることは、大きな支えになっている。

 とはいえ、実際に職を得るまでの道程は長い。「何通履歴書を送っても、1社からも返事が来ない」「履歴書に書かれた外国人名を見るなり、選択肢から排除されるという噂を聞いた」など、不安は募る。

 一方で、参加者たちはこれまで積み上げてきた経験に対する自信も失ってはいない。「選り好みせず、あらゆる職業に挑戦していく」「十分勉強し、教師という職業に必要な知識は得ている。すぐに就職できなければ、どこかの夜間コースで教えることも考えている」「母国での経験を元に、5年内に個人で貿易会社を経営したい」と、ギブアップする様子はない。職安に臨時採用された参加者は、「自己の経験を生かし、同じ境遇にある人々を助けていきたい」と前向きな姿勢を見せている。

 参加者の一人は、「プロジェクトを通してスウェーデン社会をよりよく知ることが出来た。これは就職のための第一歩。もし仕事が見つからなかったとしても、スウェーデン社会へのレールに乗り出したという気がする」と感想を語っている。

  第一回目のプロジェクトは今春に終了し、現在、夏から始まるプロジェクトへの参加者を募っている。

(注1) スウェーデンにおける失業率は、5.6%(2004年12月現在)
(注2) Nerikes Allehanda 2005年3月3日付


暴動で明らかになったスウェーデンの移民問題
移民のための語学学校/スウェーデン

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