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コミュニティカフェ・パンゲア

leader from from
三沢健直 松本市
day
2008-04-30
 

1.コミュニティカフェ・パンゲア

 大阪堺市にあるコミュニティカフェ・パンゲアには、午後4時に訪れる約束だったのだが、前の打合せが延びてしまい、電話して遅れると言うと代表の湯川さんの、なぜか残念そうな声が聞こえた。
 堺の駅を降り、デパートの脇を通って、人のいない道を赤い街灯を頼りにパンゲアに着いたのは、もう暗くなってからだった。トタンの銀色に包まれた四角い大きな建物の端に、小さな片開きの赤茶けたドアが開いていて、中から暖かい光と音楽が漏れていた。

 中に入ると、吹き抜けの大きな四角い空間があって、ほとんどそのままのサイズでヨットハーバーに向けた大きな窓が開いていた。窓の外のテラスには白いテーブルが幾つかあって、その向こうに少し小振りなヨットが並んでいる。湯川さんの残念そうな声の理由がようやく分かった。ついさっきまで、この巨大な窓から、夕焼けが部屋一杯に広がる空気を味わうことができたのだ。

 コミュニティカフェ・パンゲアは、堺市から海に出る小さなヨットハーバーに、海に向って建っている。元は倉庫だったトタンの建物をカフェに改築したものだ。経営しているのはSEINという名のNPOで、代表は20歳代の湯川まゆみさん。

 2004年2月、市民活動の支援などを目的として、3人で設立した。カフェの経営は、その事業の一つとして2007年3月から行っているものだ。パンゲアは、元々、千葉・神戸・岩手から来た環境問題などの社会問題にも興味がある3人が中心になって、2004年から経営していたもので、お客として通っていた湯川さんが後を継いだのだ。


テラスから見える風景


2.NPO法人SEINの立上げまで

 湯川さんは大学時代、国際協力に関心を持っていて、スリランカまでスタディツアーに行ったこともある。将来は医療系のNGOで仕事をしたいと考えていた。大学を卒業した後で看護学校に通うつもりが、入試に失敗してしまった。浪人するつもりで、大阪狭山市市民活動支援センターでアルバイトを始めた。それが、転機と言うことになる。NGOで働くことが目的になってしまっていないか。自問自答をする日々。

 途上国を変えるためには、そこから財を吸い上げている先進国を変える必要がある。日本を変えるためには、地域に根付き、地域と向き合う必要がある。そう思って、堺市が運営する市役所の“市民活動のひろば”で働くことにした。
 ところが、そのバイトがあまりに暇だったので、湯川さんはNPO法人設立の方法が説明できるようになろうと自分で勉強した。そして、本当に人の役に立つNPOを自分達で作ろうとSEINを設立したのだ。ちょうど、堺市の市民活動コーナーが公設民営化されることになり、企画書を提出したところ受託することが出来た。

 それ以来、市民活動コーナーでは、毎月の情報誌の発行を行なったり、「市民活動☆交流かふぇ」などの交流会・講座の運営を行なったり、さらに行政書士・税理士・司法書士・社労士によるNPO運営の相談などの事業を行っている。2期2年間連続で運営を受託し、現在では非常勤ではあるが12人を雇用して順調に経営をしている。

 とはいえ、いずれは経済的に自立する必要がある。そのためには収益事業が欲しい、と思っていた。市役所の市民活動コーナーには若い人が来ないのも気になる。若い人とどう繋がるか?どうやってカフェみたいに人の集まる場所にするか?そう思ってパンゲアに通っていた湯川さんにとっても、後継者を探し始めたカフェの創設者にとっても、完璧な出会いだったのかもしれない。今では、カフェだけで3人を雇用して、順調な滑り出しだ。赤字になる月もあるが、トータルではとんとんといったところ。

晴れた日のテラス


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