 |
ラオスのオーガニック市場をリードする『XAO BAN』という会社
|
|
|
|
 |
2008-05-09 |
|
|
|
|
1.珍しいメイド・イン・ラオスの安全な加工食品 ~起業まで~
2007年8月からラオスに住んでいるが、まず困ったのは食料調達だった。ラオス人は市場で肉や野菜を買い、自分で調理して食事の用意をする。それはこちらでは当然のことなのだろうが、日本で育った私には、強烈な匂いが立ちこめ、生きた蛙・豚の頭・毛をむしりたての鶏肉・黒々と蝿のたかる魚が並ぶ市場で買い物をするのは、恐怖でしかなかった。
今でこそ野菜と果物は買うことができるが、肉や魚はまだスーパーマーケットのパック売りのものしか買えない。そして、そのスーパーマーケットで目にする加工食品の大部分が輸入品で、高額だ。なぜラオス産の製品がないのだろうかと初めは不思議だったが、ラオスという国がわかるにつれ、技術面・資金面で困難なのだ、これは仕方ない、あきらめるしかないと思うようになった。
そんなある日、友人がラオス産の美味しいヨーグルトがスーパーマーケットで売っているとおしえてくれた。早速ためしてみようと、数点購入。これが子供に受けて、しばらく我が家では毎日の食卓に並ぶようになった。
ところで、私の息子は小児喘息である。「空気のきれいなラオスに来れば治る」と思っていたのに、発作はおさまるどころか頻繁に起こるようになった。食べるものを見直してみてはどうか。そう考え、食事を無農薬・無添加のもので作ろうと、近くで始まったばかりのオーガニック・マーケットに行くと、野菜コーナーの端に、例のヨーグルト会社の製品が並んでいる。
ヨーグルトのみならず、パスタソース、ジュース、牛乳、はちみつなど。いろいろ聞いてみようと、ラオス語のできない私が英語で無理やり質問を続けていると、後ろから流暢な英語を話す女性が出てきて、質問に答えてくれた。彼女が社長のノンナットさんだった。ご主人の仕事に伴い、タイから来られたそうだ。年齢は40歳。はきはきした明るい女性だ。
主婦なら誰でも、美味しいもの・体にいいものを食卓に並べたいと思うだろう。ノンナットさんも、そうした想いからこの会社『XAO BAN』を設立したと話している。『XAO BAN』は、ノンナットさん自身の貯金を元手に、たった一人で始めたもので、設立当初は「プレーンヨーグルト」「マルベリーヨーグルト」の2品だけだった。
「とっても小さい会社だったのよ」と彼女は話す。ノンナットさんがラオスに住み始めたのは1993年。当時、ヨーグルトを買った彼女は、それらがすべてタイ製で、甘ったるく、合成添加物がたくさん使われていることに失望した。彼女はまず、自分と家族の食べる分を自然な原料だけを使って作った。
そのうち、興味のあるご近所の分も。そして、作った分が無駄になることのないように、外部に販売を始めた。やがてメイドが手伝ってくれるようになり、そのメイドの娘や親戚にも声をかけ、少しずつ大きくしていった。2003年に会社『XAO BAN』を設立。今では20人のスタッフを抱えるほどになった。
 XAO BAN正面 工場はサパンモー村という、首都ビエンチャン中心部から少し離れた小さな村にあり、ちょっと見ただけでは普通の民家と変わりない。庭はきれいに整備され、一目見て工場とわかるような大きな設備も見当たらない。私の自宅がすぐ隣なので、XAO BANのトラックやサムロー(サイドカーつきのバイク)が、忙しそうに往来するのをよく見かける。この工場に原料を持ち込み、製造から店舗への発送までをすべて行っているらしい。
|