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異文化間教育 授業実践 (3) 足元から始めよう

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せきじえり 東京
day
2008-08-13
 

多言語多文化社会 日本

 私が通った小学校の近くにはコリアンコミュニティがあり、「金さん」や「郭さん」という名前の同級生が何人もいた。幼かったその当時、私は名字の違いに何の疑問も持たず、同じ「日本人」だと思っていた。誰もそういった文化的差異を教えてくれなかったし、彼らはほぼパーフェクトな日本語を操り、日本の学校文化に適応していた(しているように見えた)。

 現在、日本で暮らす外国人のうち公立小中学校に通う児童生徒は7万人超、その約1/3の子どもが日本語指導を受ける必要があると言われている。政府は最近になってようやく文部科学省の有識者会議の報告で、外国人児童生徒を対象とする日本語指導ガイドラインの作成を宣言した。

 ある国に居住する以上、その国の言葉や文化を学ぶことは重要課題であり、受入国そしてもちろん本人の責務ともいえるだろう。ただし、個々が持つ差異を無視して同化を促す社会は、誰にとっても決して住みやすい社会といえない。外国人に対して言語支援などのサポート体制を整えると同時に、受け入れ側である日本人にも働きかけをしていく必要があるのではないだろうか。

授業を通して得たもの

 計17回の授業実践終了後、子どもたちの感想にはこんな言葉があった。

「この授業をうけるまでは英語くらいしか、ほかの国の言葉は興味なかったけど、スペイン語をやってから『スペイン語っておもしろいなあ』と思った」

「友だちとあそんでる時、『そういえば○○ってスペイン語で○○っていうんだっけ…』と思うようになった」

「外国語や外国への興味が増えた。いつか、外国(ペルーなど)に行きたいと思った」

「ペルーだけでなく、世界のことをたくさん知った。世界のことをもっともっと知ろうと思った」

「Totemo tanoshikatta desu. Muchas Gracias.」

 身近なところから始めてみよう。これが私の異文化間教育の出発点。
 英語を学習したいという児童は実際多くいるし、英語が国際語として機能する世の中で、この外国語が「国際人」になるための不可欠なスキルとして求められることも確かだろう。

 しかし「英語がよくできること」と「国際理解」は異次元の話。今回の授業実践を通して、言葉や文化全般に対する子どもたちの興味が感化されていく姿を見ていると、お遊び程度のイングリッシュレッスンよりもよっぽど異文化理解を促す良いきっかけになるのでは?と思ってしまうのである。

「スペイン語授業:みんなの前で会話練習」



まずは自分の周りから

 多文化多言語共生社会の実現を目指した時、マイノリティ的立場にある外国人に一方的な同化や適応を求めるのではなく、マジョリティ的立場にある日本人の意識を変えていくことが非常に重要だと考えている。「異なり」を見過ごすのでなく、マイナスとして捉えるのではなく、あるいは自分と違うからといって否定するのではなく、その相違を認識して受け容れる努力をすること。

 これは何も異文化間という枠組みに限らず、他者理解のために必要なキーワードだろう。私が学校時代よりもずっと、今の日本には日常生活に「異文化」が転がっている。子どもにとっても大人にとっても多様性を学ぶいい機会。このきっかけを逃すわけにはいかない。


異文化間教育 授業実践 (2) 自分が主役になれる場所
異文化間教育 授業実践 (1) スペイン語を学ぼう♪ 
藤沢市立S小学校日本語教室

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