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義手・義足支援NGO『COPE』をたずねて/ラオスと不発弾

leader from from
村岡桂子 ラオス人民民主共和国 ビエンチャン
day
2009-02-04
 

COPEビジターセンターを訪ねて

 両手と右足のない青年が義足をつけて微笑んでいる。その写真を使ったのぼりを、ビエンチャンの町のあちこちで見かけるようになったのは、去年の夏ごろからだったか。
 『COPE(Cooperative Orthotic and Prosthetic Enterprise)』は、ラオスの地に大量に残された不発弾(UXO)の被害者のために義手・義足の製作、リハビリサービスを提供するラオス唯一の団体である。1997年に英国のNGO『Power International』が中心となり、ラオス保健省と複数のNGOが共同で設立した。運営資金は、主にラオスを含む各国政府やNGO(Power International、World Vision、The Leprosy Mission Internationalなど)、企業、個人からの寄付による。


 COPEは、国立リハビリテーションセンターのスタッフや義肢装具士の育成も行っているが、さらに、観光客などに向けて、不発弾が今も撒き散らす悲惨な現実と、COPEの活動について伝えるためのビジターセンターの運営も行っている。ビエンチャンの町でよく見かける「のぼり」は、このビジターセンターのものである。生徒を連れて見学に訪れる学校も多い。

 ビジターセンターは、ビエンチャン最大の市場『タラート・サオ』に近い、比較的人や車で賑わう通りにある、白い壁の二階建ての倉庫のような建物である。訪れてみると、展示物や写真が示す悲惨な現実に圧倒される。クラスター爆弾が空中で割れ、中から小型の爆弾が無数に振ってくる様が表現されている。その小型の爆弾が不発に終わり、今になって爆発して被害者を出しているのだ。その奥には鉄くず回収業者が集めた爆弾の数々が並べられ、被害者の写真や義手・義足も展示してある。


 ラオス人スタッフが、数名常駐しており、質問に答えてくれる。隣接する日本のNGO『AAR(難民を助ける会)』が作る車椅子も展示されていて、実際に乗ることも可能だ。広い展示室の隣は8畳ほどの小さな売店で、その売り上げは『COPE』の活動資金となる。Tシャツやマグカップ、本、人形、そして季節柄クリスマスのオーナメントも置かれていた。

 ビジターセンターを訪ねた友人が「のぼりの青年の笑顔は、実はそこに至るまでに想像を絶する苦しみがあり、それを乗り越えて、やっと掴んだものだって、センターで聞いてよくわかった」と話していた。ラオスを訪れる方には、ぜひ立ち寄ることをお勧めする。実際に被害者のストーリーを耳で聞き、目で確かめることで、理解はより深まる。

 センターの隣の建物では、実際に義手・義足を作っていた。見学してよいものか少し迷ったが「サバイディー」と声をかけ、入ってもよいかとたずねると、中で作業していた40歳くらいのラオス人の男性が、快くOKしてくれた。手や足の型を石膏で取り、その上にプラスチックをかぶせて固めたあと、石膏を取り除いて完成する。数人の若者が一心不乱に義足を作成していた。ここでは、義手・義足の取り付け後のリハビリまで行う。


ラオスの抱える不発弾問題の現状

 ラオスの不発弾問題は、かなり深刻で、1人あたりの不発弾の数は世界最大である。貧しい村人は、鉄くずを集めて売り、生活の足しにしているが、そのような人々が被害にあう。大人だけでなく、子供たちも、爆弾をそれとは知らずに取り上げ、爆発によって命を落とす。そんな悲惨なストーリーが後を絶たない。

 ラオスにおける不発弾をすべて処分するには今後一世紀ほどを要するという報告もある。現在は『UXO LAO』というNGOが『国連開発計画(UNDP)』や『日本地雷処理を支援する会(JMAS)』などの技術協力、指導を受けながら、不発弾の除去活動や地域での啓蒙活動を行っているほか、『MAG(マイン・アドバイザリー・グループ)』や『ハンディーキャップ・インターナショナル』などのNGOや営利企業も活発に活動をしている。

 何故ラオスにこれだけ大量の不発弾があるのか。これらの大量の不発弾は、ベトナム戦争のときにアメリカ軍によって投下されたものだ。ただ、ラオスにおける紛争は秘密戦争とも呼ばれ、未だに多くの事実が究明されていない。


『COPE』のこれから

 現在は外国人がアドバイザーとして、技術指導などを行っているが、将来はNGOの手を離れ、ラオス人だけで運営していくことが目標だという。ここでは多くのラオス人が働いているが、現金収入のある仕事を見つけることが比較的困難なラオスにおいて、雇用創出の点でも、『COPE』は大きく貢献している。「関係者以外立ち入り禁止」と書いてあるにもかかわらず、「ちょっと見てもいいですか?」とたずねると、「どうぞどうぞ!」と招き入れてくれるラオス人スタッフの笑顔をみるにつけ、心から『COPE』を応援したくなった。

 昨年の12月に、日本もクラスター爆弾禁止条約に署名したが、昨今の観光地としてのラオス人気とあいまって、ラオスの不発弾問題にも注目が集まってくれればと思う。ラオスから遠い日本にいながらできること。それは寄付などの直截的な行為だけにとどまらず、クラスター爆弾の残忍さ、戦争の悲惨さ、そして、戦争の後遺症としての不発弾問題、それらを知り、後世に伝えることではないだろうか。

 なお、『COPE』のホームページには、ビジターセンターの中をぐるりと見渡せる、virtual tourのコーナーがあるので、そこを見れば、中の様子がよくわかると思う。また、何か力になりたい!と思われた方は、ホームページ内で寄付も受け付けている。ちなみに、50ドルの寄付で、義足が一本用意できるそうだ。


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