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都市農地を活用する試み(2)-こだいら菜の花プロジェクト

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伴昌彦 東京都
day
2009-03-26
 

 1回目で紹介した東久留米市の「くるめ・一歩の会」は福祉と農業を結びつけながら、市民主体で農地の活用、援農などの活動を実践していた。2回目の今回は東久留米市の隣の小平市で行なわれている行政と市民との協働による農地活用プロジェクト「こだいら菜の花プロジェクト」を見ていきたい。

菜の花プロジェクトとは?

 「菜の花プロジェクト」とは、地域で菜の花を育て、そこからナタネ油を生産して、まず食用に利用した後で、廃油を回収してバイオ燃料などに活用する、地域内での資源循環を目指す活動だ。休耕田の活用法としても注目されている。滋賀県で始まり、現在全国的なネットワークが作られている。
 ナタネ油の生産と言うと、広大な菜の花畑をイメージされるかもしれないが、実は東京でも菜の花プロジェクトが活動しているのだ。


 前回の「一歩の会」でも見たように、都市には担い手の高齢化などで十分に活用されていない農地がある。東京都小平市にもこうした「低利用農地」が多い。この低利用農地の利活用を進める方策のひとつとして、小平市は平成19年度、農業基本構想の審議会「農のあるまちづくり推進会議」で、「菜の花プロジェクト」の推進を提案した。

 菜の花プロジェクトを低利用農地に応用すれば、活用されていなかった畑が花畑として甦る。目に楽しいだけではなくて油まで採れて、環境問題についても考えてもらえる。そんな夢のある話に展開しそうだ。市はこのプロジェクトを主体となって推進する市民ボランティアを探し、声をかけたのが「小平・環境の会」だ。

「小平・環境の会」

 「環境の会」は元々、「日の出のごみ処分場※」の問題から、ごみ問題に関心を持った市民によって作られた会で、10年以上の歴史がある。1994年、小平市で「水からの速達」という、日の出町のごみ処分場周辺地域の水汚染を描いたドキュメンタリー映画の上映会が行われ、この時の実行委員会のメンバーの有志が、会を立ち上げた。

 メンバーの中心は主婦やリタイアした会社員。会にはとても勉強熱心な人達が多く、「バイオマス」「畑」「資源循環」など、様々な分野で精力的に活動している。会長の馬場悦子さんは穏やかながらとても活動的な女性だ。
 馬場さんによれば、会を立ち上げたメンバーは、必ずしも以前からごみ問題に意識が高かったわけではない。しかし映画を観たことで、ごみを「出す側」の自分達にも意識を向けるようになったという。その意識が、行政を批判するだけではなく自分達でもごみを減らそうという活動につながった。

 ごみ減量を模索する中で、生ごみの活用法として目を向けるようになったのが、「堆肥」だ。会は市内にある小学校の給食から出る生ごみ乾燥物で堆肥を作り、それを市内の畑で活用して作物を育てるなど、地域内で資源を循環させる活動を展開するようなっていった。資源の循環利用への関心は更に、バイオマスの活用というテーマにも発展。2005年には多摩地区のバイオマスエネルギーの活用状況を調査した報告書を発行した。

 更に、環境の会には、既に別の地域で菜の花プロジェクトに関わってきたメンバーもいた。小平市に隣接する西東京市の東大農場では、市民を対象とした東大農場塾の授業で、菜の花プロジェクトと連携して菜の花の栽培、加工を行っている。
 環境の会のメンバーで、東京都環境学習リーダーの前田三郎さんは、温暖化の影響を受ける「北極のシロクマ」を救いたいという思いから、東大農場でヒマワリやナタネの栽培、加工を学んできた。会としても、いずれは自分たちでバイオマスの利用を手がけてみたいと考えていたところで、プロジェクトの担い手として、環境の会はうってつけだった。

※東京都日の出町のゴミ処分場周辺で、有害物質を含む汚水漏れと焼却灰飛散による、周辺環境の汚染が問題となった。水源林を開発しての処分場の増設に対しても反対運動が展開された。


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都市農地を活用する試み(3)-倉沢里山の会
都市農地を活用する試み(1)-東久留米市一歩の会

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