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イベント報告-人と地球に厳しいパームオイルと付き合う方法

パームオイル・ウォッチ・ユニット

leader from from
三沢健直 松本市
day
2009-08-21
 

 8月8日(土)の夕方、インディペンデントメディア【レアリゼ】が主催する初めてのイベント「人と地球に厳しいパームオイルと付き合う方法」を、東京恵比寿のアサンテサーナカフェで開催しました。ちょうど東京湾の花火大会と重なたにも拘らず、カフェの定員を超える約30名の人々が集まって、熱気溢れるディスカッションを行うことができました。

小池菜採さん  photo: Hikaru Hayashi (Thanks!)


 レアリゼが2008年に実施した第2回共同リサーチのテーマは、「人と地球に厳しいパームオイルを避ける方法」でした。パームオイル(パーム油)を生産するプランテーションを作るために、主要な生産国であるマレーシアやインドネシアでは、熱帯雨林が急速に消失し、生物多様性が失われ、オラウータンなどの動物が絶滅の危機に瀕しています。
 また農園の造営のために泥炭地帯に火が放たれることで、二酸化炭素が大量に放出されるなど、地球温暖化への影響も大きい。さらに、先住民の土地が違法に収奪されたり、農園では大量の農薬が使用されて労働者の健康被害が発生されたり、児童労働が指摘されるなどと、人権の問題もあり、パームオイル生産は環境破壊から人権侵害まで問題のオンパレードなのです。

 このように、非常に多くの問題が指摘されているパームオイルを、日本人は日常的に大量に消費しています。主な用途は、食品です。チョコレートやインスタント食品に使用される植物油、植物油脂には大抵の場合パームオイルが使用されています。また、フライドポテトなどのための外食産業でも大量に利用されています。

 共同リサーチ「人と地球に厳しいパームオイルを避ける方法」を通じて自分達の日常にパームオイルがどれほど浸透しているかを知ったレアリゼメンバーの有志は、2008年より少人数の活動グループであるパームオイル・ユニットを立ち上げて、企業やNGOからのヒアリングを行ってきました。今回、そのユニット活動の一環として、ディスカッションを通じた情報発信を企画したのです。

 イベントでは、まずアジア太平洋資料センター(PARC)が製作したDVD「近くて遠い油のはなし」を上映し、制作者の小池菜採(こいけなつみ)さんのお話をお聞きしました。その後、玄米おにぎりを食べながら、「自分達に何ができるのか」というテーマで、グループディスカッション。
 グループディスカッションでは、Yes or Noを利用した「タイプ診断」を行い、エコリッチタイプ、プロテストタイプ、自給自足タイプ、ボランティアタイプなどのグループに分け、それぞれ、パームオイル問題に対して、どのような行動をとるか、という議論を行いました。最後に、グループごとに発表してもらった後で、レアリゼからのヒントを説明しました。

タイプ別診断ゲーム


 グループごとの発表を簡単にご紹介します。

エコリッチタイプ
・土地を買い上げ、そこで住民主導の地域開発を行ってもらうよう支援する。土地に伝わる手工芸品を中心とした、小規模ローンのプロジェクトや、豚銀行や牛銀行などのシステムを作る手助けをする。
・社会貢献事業において、非常に秀逸な活動を行っている企業の筆頭株主になる。

プロテストタイプ
・一番身近な人を変えるのが一番大変。機会を見つけ、普段の会話の延長で、パームオイルの問題、大量消費の問題などについて考える機会を提示する。
・賢い消費者になる。消費者の力が、大企業の方針を変えることがある。
・今日集まった人のネットワークが大事だ。

ボランティアタイプ
・大学の経済学部で勉強しているが、大学での議論とはまったく違う。一般社会とアカデミックな社会とを繋げていくことが大事だと思った。

自給自足タイプ
・原則的に農薬を使っているからダメ、ということでなく生産者と顔の見える関係を作り、そこから購入するのが良い。

 小池さんからは、RSPO(持続可能なパームオイルのための円卓会議)などの試みはあるものの、まずは不要に大量のパームオイルを消費している生活を見直すべきだという意見が出されました。例えばコンビニで販売しているチョコレート、舌の中で微妙にとろける風味を出すために、環境を破壊する必要は全然ないのではないか、ということ。さらに、小池さんが仲間たちと実践している「一人一菜」を紹介してくれました。これは、完全な自給自足は難しくても、「一人一菜」なら可能だというもの。

グループ・ディスカッション


 レアリゼからは、エコリッチタイプの選択肢として、RSPOの認証を取得したダーボン社が行う「人の平和のための連携プロジェクト」や、ボルネオ森林保全トラストに売上げの1%を寄付するサラヤのヤシノミ洗剤を紹介。プロテストタイプとしては、企業にRSPOを要求したり、パームオイル由来のバイオ燃料の使用禁止を求めるなどの選択肢を紹介しました。
 ボランティアタイプとしては、WWFや、FOE、ボルネオ保全トラストなどの環境団体や、もちろんレアリゼ・パームオイル・ユニットなどに参加して活動するという選択肢をご紹介。自給自足タイプには、界面活性剤を含む「ムクロジ」など、代替物を紹介しました。

 最後にお伝えしたかったのは、パームオイル自体は優れた性質を持つオイルであり、それがどのように生産されたか、どう使うかが問題だ、ということ。フェアトレード商品でもパームオイルを使っている商品がありますが、これは貧困の解決という問題のための商品であり、もし環境意識の高い人がパームオイルの入っているフェアトレード商品を買うのをやめ、意識のない人がコンビニでチョコレートを買い続けるなら、世界は以前より悪くなってしまうかもしれない、ということ。

 参加者の熱気と講師の小池さんのハイテンションが相まって、ディスカッションは大変盛り上がりました。単に問題を指摘するだけでなく、自分達に何ができるのか考えるというレアリゼの方針通りのイベントにできたと思います。この熱気を、さらなる活動につなげて行きたいと考えています。次回をお楽しみに!!


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「近くて遠い油のはなし(PARC製作)」
パームオイル・リサーチ・ユニット
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