reports

サステナビリティ

back
prev_btnnext_btn
series
title

オイルパーム労働者はいまだ貧困線以下、大臣声明とうらはら

オイルパーム産業の労働者

leader from from
Mongabay.com San Francisco Bay Area (California)
day
2010-02-21
 

 マレーシア・インサイダー紙によると、10月19日(2009年)、プランテーション産業および商品相のタン・スリ・バーナード・ドンポク氏は、議会に対し、「オイルパーム収穫労働者およびゴム採集労働者は、マレーシア国民の貧困線を上回る生活水準にある」と述べた。しかし現在、それら労働者の代表者たちは、ドンポクの発言は嘘だとしている。

 「それは見え透いた嘘で、長い間言われ続けてきた。事実を見れば誤解や混乱を招くものだ。」同紙によると、プランテーション労働者支援グループ(Plantation Workers Support Group)のコーディネーターである、M. スグマラン氏は、記者会見の席上そう語った。

 「大臣の声明は不誠実だ。そのような声明のために、貧困線以下の稼ぎしかない人たちに対して政府が支給する手当を、プランテーションで働く人々が受けられなくなる。」

パーム油のプランテーションと雨林(ボルネオ島マレーシア領)(写真: レット A. バトラー)


 ドンポク氏は声明の中で、オイルパーム収穫労働者およびゴム採集労働者は一月にそれぞれ、約1700リンギット(500米ドル)、870リンギット(257米ドル)の稼ぎがあるとした。マレーシア農村部の貧困線はひと月720リンギット(213米ドル)である。

 しかし、「プランテーション労働者支援グループ」の調査によれば、オイルパーム労働者の平均賃金は700リンギット(207米ドル)で、マレーシアの貧困線を下回る。

 パームオイル産業では、マレーシアの貧困緩和を支援してきたとする声明を度々発表している。しかし、低賃金と厳しい労働条件のために、同産業では十分な労働者を確保するのが困難だった。そのためマレーシアのオイルパーム産業における労働者の多くは、インドネシアやフィリピンからの移民で、不法労働者もいる。地元の環境保護論者たちは、こうした労働者は賃金が低すぎるために肉を求めて森林に向かい、罠を仕掛けて、マレーグマ、ゾウ、サイといった絶滅寸前の種などを無差別に捕まえていると主張する。

 英国は最近、マレーシア・パーム油協議会(MPOC)の広告を禁止した。誤解を招き、根拠のない意見広告だというのがその理由である。問題の意見広告では、パーム油産業が「持続可能」であり、とりわけ農村部の人々の間で「貧困の緩和」に貢献している、としている。

 オイルパームはマレーシア最大のビジネスの一つである。2008年には急速に成長を遂げるこの産業において、輸出額で648億リンギット(米ドル換算で200億ドル近く)を稼ぎ出した。同産業界では、オイルパームはマレーシアの経済発展にとって、不可欠なものとなっているとしている。
 この意見に批判的な人々は、その利益の大部分が、結局は少数の人々の手中に収まり、国の熱帯雨林や天然資源を犠牲にしていると主張している。

世界銀行グループの国際金融公社、パーム油企業への貸出を一時停止

 (2009年9月9日)  世界銀行は、国際金融公社(IFC)のオイルパーム部門への財政援助を、予防措置が取られるまでの間、一時停止することを承認した。貸出によって社会上ないし環境上の損害を引き起こさないようにするためである。ロバート・ゼーリック世界銀行総裁のNGO(非政府組織)宛ての書簡で明らかになった。
 最近の内部監査によれば、プランテーション開発業者ウィルマー・グループへのIFCからの財政援助が、IFC自体の手続きに違反することがわかった。営利企業を環境的および社会的基準より優先させたのである。
 この監査結果は、環境・先住民権支援団体に支持された。これらの団体は、世界銀行による産業用オイルパーム開発支援を非難してきた。インドネシアにおいて森林の大規模破壊を駆り立て、温室効果ガスの排出を押し上げ、オランウータンなど希少な野生生物の絶滅が危惧されるようにし、森林の部族を追いやってきたとしてである。


(2009年11月19日記事/文:ジェレミー・ハンス、翻訳:猿渡薫)

【編集長より】

 問題はあるにせよ、パームオイル産業がマレーシアの経済発展に果たしている役割を、先進国の我々が否定することはできない。

 熱帯雨林を守るのは、地球に住むすべての生命のためであり、その責任を途上国の人々に押し付けるのは無責任だ。熱帯雨林を守ることが利益になり、経済発展にも繋がるような新たなビジネスモデルが求められている。民主党政権の掲げる25%削減政策の実行も期待される。

 2010年2月12日、次のようなニュースが配信された。RSPOは、熱帯雨林を破壊しないパームオイルの認証制度を導入しようとするステイクホルダーの円卓会議である。RSPOにも批判は多いが、一つの前向きな実験として期待している。しかし、認証制度が効果をあげるためには、それを求め、購入しようとする消費者の存在が不可欠だ。パームオイルを毎日消費しているのは、私たちなのだ、ということを忘れずにいよう。

「熱帯雨林破壊なし」認定パーム油、欧州で需要増加=ドイツ業界団体会長

 【ハンブルク・ロイターES=時事】ドイツ食用油業界団体(OVID)のスプリック会長は11日、ロイター通信に対し、欧州諸国では、熱帯雨林を破壊せずに生産したと認定されたパーム油の輸入が増えていることを明らかにした。

 同会長は、「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」で認定された約12万トン(生産全体の98%に相当)のパーム油が1月に売却され、主な購入先は、英国、スイス、ドイツだったと述べた。

 同会長によると、認定されたすべての持続可能なパーム油は、その大半がマレーシアとインドネシアで生産されたもので、市場で取引されたのは今回が初めてだという。

 RSPOは、パーム油生産業者、加工業者、消費者および環境保護団体で構成され、熱帯雨林で生産されていないパーム油であることを認証するプログラムを開始した。初の認定パーム油が欧州に到着したのは2008年11月だった。


ボルネオにおける森林伐採が先住民族に与えてきた影響
バーガーキング社による発表:ボルネオの熱帯雨林破壊に影響を及ぼしているパームオイル生産者との取引停止
マレーシア: オランウータン保護 VS パームオイル開発 ― 誤った記録を正す
現実世界の「アバター」ストーリー:企業の搾取と戦う先住民族

このエントリーをはてなブックマークに追加





関連サイト
Oil palm workers still below poverty line, despite Minister’s statements(Mongabay.com)
World Bank’s IFC suspends lending to palm oil companies(Mongabay.com)
RSPO - PROMOTING THE GROWTH AND USE OF SUSTAINABLE PALM OIL
パームオイル・リサーチ・ユニット
関連ニュース
オーガニック認証のパームオイルとは?(中間報告 Vol.6)
サラワク州におけるプランテーション開発と先住民との関係/FoEジャパン(中間報告 Vol.5)
ボルネオ島のプランテーション開発/BCTジャパン (中間報告 Vol.4)
パームオイル代替オイルの可能性/バイオディーゼル燃料編 (中間報告 Vol.3)
インドネシア、スマトラにおける新しい村づくりのプロジェクト(オイルパームプランテーション開発の問題)
パームオイルの流通現場からのヒアリング (中間報告 Vol.2)
パームオイルに関する政策提案の試みからリサーチ・ユニットへ (中間報告 Vol.1)
現実世界の「アバター」ストーリー:企業の搾取と戦う先住民族
マヤナッツの挑戦
ネイティブ・アメリカを訪ねる~先住民エコツアーの試み PART II
天ぷら油で走る車に乗る人々(WVOというバイオディーゼル燃料)
大町菜の花プロジェクト ~ 日本の油田とヴァージンオイル ~
オイルパーム(アブラ椰子)農園労働者ヘルさんへのインタビュー
ネイティブ・アメリカを訪ねる~先住民エコツアーの試み~ PART I
森を壊さないカレーを食うために ~パーム油フリーカレー~
「公正」と「健康」という視点/「人と環境に厳しいパームオイルを避ける方法」Vol.3
パーム油の表示がない!?(植物油脂という表示)/「人と環境に厳しいパームオイルを避ける方法」Vol.2
パームオイルの問題を再確認する/「人と環境に厳しいパームオイルを避ける方法」Vol.1
関連ニュース
コメントを見るコメントする
コメント(0)

クリエイティブ・コモンズ メンバー募集 メルマガ 受託型リサーチ レアリゼブックストア サポーター募集 twitter mixi face Flickr