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「車のない生活」がもたらす子供にとって5つのよいこと

leader from from
Carbusters Czech Republic 福田みどり 京都市
day
2010-03-21
 

 子供の遊び場で数人の母親と話をしていた時、1人の母親はわたしに言った。「バスなんて一度も乗った事がないわ!だって混雑しているし汚いから」。さらにもう1人の母親は、「赤ん坊と一緒にバスに乗るなんて、幼児虐待よ」と。

 自分の家族の事について他人からコメントされるのが嫌だったので口にはしなかったが、生後2日目の息子をバスに乗せて医者に見せに行ったことをばらしたら、なんと言われていただろう。

電車に乗る著者とその1歳になる息子、サンフランシスコのノース・ユダラインにて(撮影は、このとき向かいに座っていた気のいい旅行者)


 わたしはバスを使うしかなかった。ご存じのとおり、わたしたちには車がないし、妻もわたしも免許さえないのだから。20代のころ、自分は車を持たないと心に決めてから、自分の足で歩き、自転車に乗り、時には相乗りさせてもらいながら、なるべく公共機関を利用して、ずっとやってきた。

 サンフランシスコやニューヨークやボストンなどに住んでいる人ならともかく、そうでない(不便な地域に住む)人から見れば、車なしで生活することなど、とんでもないと思うだろう。

 しかし、そうした人たちも、ひとたび車が故障し、車のある生活を享受できなくなったとしたら、わたしたちと同じ境遇になる。それどころか、普段経験しないバス一駅分の距離を歩かなければいけないとなれば、歩きなれていない彼らは身がすくむような思いをするだろう。嫌みな言い方をするつもりはないが、体調や健康にやたら気を配るような人の多くが、交通手段となると車に頼り続ける人が多いというのも事実だ。

 正直に言おう。わたしだって、子供が生まれてから車を持つかどうか、免許を取るかどうか悩んできた。子供がいなければ車がなくたって、ちっともかまわないが、親になるということは、自由な選択を奪われることでもある。しかし、結局のところ、自分だけの車を持つのではなく、相乗りサービスを選択することにした。車を持たないという選択肢は単純な理由からである。車が地球に悪い影響を与え、健康や社会にとってよくないものだからだ。

 トロント大学のエンジニアであるエリックミラー氏はこう述べる。「私たちは車を自由で柔軟性がある便利なものと見なすが、そのメリットが約束されるのはある程度の段階までであり、それを越して、渋滞やそれによる公害汚染などにより失われてきているのが現状だ」。

 この先にわたしたちができることは、(環境に優しい)エコ商品を買うことや、リサイクルしたり、出来る物は何でも再利用したり、ハイブリッドカーを買うことだ。さらに科学者や技術者らは、この地球にとって人間が個人としてできる最良の方法は、自家用車を持たないことだ、と口を揃えて言っている。

 多くの人々にとって、車を手放すことは大変な犠牲を払う気持ちになるのは確かである。実際に地域によってはほとんど不可能に近いことでもある。けれどもわたしの15年間の車なしの生活(そのうち5年間は親として)では、犠牲になったものはなにもない。それどころか、車のないことによって家族が得たものはたくさんあるとさえ言える。

 以下にそれを述べてみる。

●質の高い時間:車に乗るとき、たいてい子供はシートベルトをさせられて後部座席で静かにしているか、親の注意を引くためぐずぐず泣いたりしているが、バスや電車でそんなことは起こらない。私たち両親は息子のすぐ横にいるし、喋ったり読み聞かせたり、窓から目に入る建物や工事用機械や人々についていろいろとしゃべったりする。

●社会的つながり:例えばバスや電車の中で親が読み聞かせをする時、息子だけにしているわけではなく、そばにいる子供たちが私のお話に引きこまれることもよくある。このような形で、いろんな人種の人が家族単位で公共機関を利用しているいろいろな人種の人たちを知り合いになった。このようなつながりは、地域をより住みやすくすると思う。

●地域の交流:どうしても車が必要なときは友人に乗せてもらう。ある人が私の妻を「たかり屋」と言っていたこともあるが、相乗りを頼む友人に聞いたところ、彼らは私たちのリクエストを快く受け入れてくれる。
 私の家族はいろんな面で多くの人の付き合いを通して、私たちのコミュニティーに「おかえし」している。例えば、ベビーシッターの助けをしたり、パーティーのホストを引き受けたり、何かを必要とする友人の家で手を貸したり。相乗り乗車もそのような地域の中で交流するときの1つの流れにすぎない。友人の多くは 私たちの車を持たない生活を支援し、周囲の環境を少しでもよくするために快く相乗りをさせてくれる。

●健康と元気さと忍耐力:この3つの中で「健康」について説明する必要はないだろう。どこへ行くにも車を利用する事は、筋肉を弱くし、胴回りを太くすることは周知のことだし、明らかなことである。もし私が車を持ち運転していたらきっと洋ナシ体型になっていただろう。
 それよりもわたしたち家族が車に乗らないことは、息子の健康な成長に加え、彼の元気で辛抱強く、簡単にあきらめない性格にも貢献してきた。彼はすぐ車でどこかへ連れて行ってもらうことを期待しないし、甘えもしない(キャンディやアイスクリームを欲しがって甘えるのは別問題だが)。旅行というのはもともとステップやルールがある冒険のように理解しているし、その結果、息子はすごく忍耐強くタフになったと思う。

●場所への愛着:景観を見て、親しむには自分で実際に歩いたり自転車に乗ったりするのが一番よい。自転車や歩きで移動していると、車に乗っていたら絶対に体験できないことを見聞きすることがあるし、私の息子だって同じだ。
 もし遊び場まで彼を車に乗せて行っていたら、リク(息子の名前)はゴールデンパークにいる若者達からドラムを習うきっかけも、近所のクラウディアやゾーイとの出会いも、サンセットにあるコミックストアも、カストロの歩道で見つけた鳥肌の立つような蟻の行列の発見も、体験することがなかっただろう。もちろん車なしで歩き回るのは時間がかかるけれど、そのおかげで私たちはいろいろな場所とより深くつながりをもつことができるんだ。

原文:5 Ways My Son Benefits from a Carfree Life
著:ジャレミー・スミス
翻訳:福田みどり


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