ボルネオ島(インドネシアではカリマンタン島の呼称を用いる)にはマレーシア領、インドネシア領、ブルネイ領がある。近年まで豊かな熱帯雨林が残されていたが、現在はプランテーション化や伐採により森林破壊が進んでいる。
ボルネオにおける開発や先住民の状況、生態系保全の試みについて、前出のNPO法人バイオマス産業ネットワーク(BIN)に加え、ボルネオ保全トラストジャパン、FOEジャパンに聞き取りを行なった。
BINの泊さんは、2008年11月にインドネシア側の町を視察した。ボルネオ保全トラストはマレーシア側のサバ州で、緑の回廊作りによる生物多様性保全を目指している。FOEジャパンは、違法伐採等の森林問題に取り組んでおり、現在マレーシア側のサラワク州でも森林の現状を調査している。
ボルネオ保全トラストの試み
ボルネオ保全トラスト(以下BCT)は、「ボルネオ緑の回廊」を作ること、生態系保全のプラットフォームを作ることを目的としている。マレーシアサバ州の行政、資本家、NGO、などを中心に2006年10月に設立され、同年12月にはマレーシア政府から免税団体として認可された。本部はサバ州のコタキナバルに置かれている。日本からは理事として更家雄介さん(サラヤ社長)、COOとして坪内俊憲さん(野生生物管理専門家)が参加している。
2007年1月にNPO法人ゼリ・ジャパンが日本でのBCTの支援窓口となったが、2008年5月にゼリジャパンからBCT支援窓口が独立し、BCTジャパンが設立され、2008年12月にNPO法人として認証された。
2009年6月、BCTジャパンの事務所のあるサラヤ株式会社を訪問し、事務局長の森井真理子さんにお話を伺った。サラヤは、ヤシノミ洗剤の売上の1%でBCTの活動(内15%がBCTジャパンの運営資金)をサポートしている。
「緑の回廊」とは、パームオイル農園開発や違法伐採で分断化された保護区(森林)と保護区(森林)の間の土地を確保し(購入、収用など)し、生態系を連続させる活動。「回廊」を通って、孤立した森林に取り残された野生生物が他の森林に移動できるようになる。

市民の寄付で獲得した1号地(Photo:BCTジャパン)

オランウータンのための吊り橋を2008年から架けている(Photo:BCTジャパン)