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写真記事:パラダイスのような自然保護区に建設予定の石炭発電所--ボルネオ島

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Mongabay.com San Francisco Bay Area (California)
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2010-08-05
 

 世界の目がメキシコ湾の原油流出災害に向けられたことによって、多くの人々は、アメリカのみならず、世界が化石燃料に依存していることが果たして正しいのか、慎重に考え始めている。

 しかし、大規模な化石燃料エネルギー開発はどんどん先へと進む一方だ。ボルネオ島にあるマレーシアのサバ州で、地元住民からの猛烈な反対にさらされて(そのためすでに二度予定地の変更を余儀なくされて)いる出力300メガワットの石炭発電所の建設プロジェクトもその一例だ。

 下の写真が示すように、 世界でもっとも豊かな生物多様性を持つ海洋環境の一つ、「コーラル・トライアングル」海域が見渡せる未開発の海岸に石炭発電所を建設する計画が提示されている。さらにこの計画は、オランウータンやボルネオサイなど絶滅に瀕している稀少種が住みかとしている原生熱帯雨林のすぐ近くにも送電線を貫通させようとしている。

 この開発計画に反対するNGO団体の提携によるグループ、Green SURF(Sabah Unite to Re-power the Futureの略)は、発電所建設は塩素や硫酸の海への放出、 酸性雨の原因となる二酸化硫黄の排出、高温排水など、多くの環境問題をもたらすことになると警告する。

 さらに発電所は新たな送電線やインフラ、カリマンタン州の南にある炭鉱から石炭を運ぶ貨物も必要とするため、開発による環境への影響は更に広くなると予測される。

 Green SURF が先ごろ実施したエネルギー監査によると、サバ州はパーム油バイオマス、太陽熱、水資源といった、化石燃料以外の選択肢から価格競争力のある電力を開発できるだけの資源力がある。

 石炭発電所について関心のある方はGreen SURFのサイトを訪問すると良い。マレーシア首相に発電所反対のメッセージを送るポストカードキャンペーン、オンライン署名、 Facebookページ、など様々なキャンペーンが行われている。マレーシアと石炭エネルギー開発に関する情報全般については、Source Watch がある。


石炭発電所の建設予定地は、この写真の、「コーラル・トライアングル」を見渡す未開で原始のままの海岸にある。500種以上のサンゴや、3000種もの魚類が生息するコーラル・トライアングルは、世界でも有数の多様な生物が棲む海域。昨年、マレーシア政府はこのコーラル・トライアングルを守ることを保証する条約に署名した。(写真提供:Wong Tack )


建設予定地近くの海岸にある熱帯雨林。環境保護支持者たちは、発電所から排出される硫黄が酸性雨を誘発し、このような熱帯雨林が破壊されることを危惧する。(写真提供: Cede Prudente)


建設予定地の南、センポルナにある海辺の村は、生活の糧を豊かな漁場のある海に頼っている。環境保護主義者の意見によると、発電所からの塩素や硫酸廃棄物は、地域の富栄養化や赤潮発生を煽り、海洋生態系の死滅につながる恐れがある。(写真提供: Helen Brunt )


サバの豊かで多様な海洋生物は、地域の漁業を支えているだけではなく、世界中から観光客を呼び寄せる観光地でもある。サバは「環境に優しい州」として国際的に評価されているが、活動家たちは、原生林のそばにある手付かずの海岸に石炭発電所が建っていては、そのイメージは保てないと懸念する。環境保護主義者たちは更に、石炭発電所から発生する熱が近辺のサンゴ礁の破壊につながるとも予測する。(写真提供:Borneo Dream)


手つかずの自然が残る島と海域からなるトゥンサカラン海洋公園(Tun Sakaran Marine Park)は、発電所建設予定地から100キロメートル足らずのところにあるセンポルナ(Semporna)海岸の沖合にある。(写真提供: Yee I-Lann )


原生熱帯雨林、驚くほど豊かな生物多様性、多数の絶滅危惧種。タビン野生生物保護区は、ボルネオの財宝の一つ。石炭発電所の送電線はこの保護区すれすれのところに通される見込みで、さらに、酸性雨がこの繊細な環境を汚染することも考えられる。(写真提供: Cede Prudente )


タビン野生生物保護区は、 IUCN(国際自然保護連合)によりレッドリスト(絶滅危惧IA類)に分類されるスマトラサイの最後の生き残りたちの生息地である。世界で最も小さいサイであるこの種は、わずか250匹しか生存しない。(写真提供: Cede Prudente )


タビン野生生物保護区はまた、IUCNレッドリストで絶滅危惧IB類とされるボルネオオランウータンの住みかでもある。サバに生息するオランウータンの数は、過去数十年の間に、50—90%も減少しているが、生息可能地域の減少がその主な原因である。(写真提供: Jollence Lee )


観光客はタビン野生生物保護区で、世界最小の象であるボルネオピグミー象の姿を垣間見ることができる。ボルネオピグミー象は、アジア象のユニークな亜種。(写真提供: Cede Prudente )


タビン野生生物保護区は、この写真のサイチョウも含む220の記録種がいる鳥類の生息地でもある。米国内の調査では酸性雨によって数が減った鳥類も記録されている。(写真提供: Cede Prudente )


石炭発電所建設予定地近くにある漁村の子供たち。昨年コペンハーゲンで、マレーシアの首相ナジブ・トゥン・ラザクは、マレーシアが炭酸ガス排出量を2020年までに40%減らすことに同意した。また首相のブログでは、マレーシアのエネルギー開発は「天然ガスや石炭を支持する方に片寄り過ぎている」ので、そのような「不均衡は修正する必要がある」と述べられている。このような首相の心情やコペンハーゲンでの誓約にもかかわらず、サバの石炭発電所建設計画は着々と進んでいる。(写真提供: Yee I-Lann)


トゥンサカラン海洋公園で海藻を栽培している女性。(写真提供: Yee I-Lann)


トゥンサカラン海洋公園でボートを漕いでいるところ。(写真提供: Yee I-Lann)


石炭発電所はラハド・ダトゥ湾の北の端に建設される予定。(写真提供: Cede Prudente )


赤い丸が石炭発電所の場所。タビン野生生物保護区は、その西、センポルナ(トゥンサカラン海洋公園)はその南にある。(地図提供: Green SURF)


コーラル・トライアングル海域内のサバの位置。(地図提供: Green SURF)

原文:Jeremy Hance (Mongabay.com)
翻訳:小谷祐子


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関連サイト
[原文]Photos reveal paradise-like site for coal plant in Borneo (Mongabay.com)
Green SURF
Postcards To PM(ポストカード・キャンペーン)
オンライン署名
Facebookページ: it ain’t green, it’s BLACK!
Source Watch (マレーシアと石炭エネルギー開発に関する情報全般)
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