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車輪の上の女性たち~解放のサイクリング(ダッカ市、バングラデシュ)~

leader from from
Carbusters Czech Republic 香野美里 東京
day
2011-07-24
 

  2011年2月25日金曜日、50人余りの女性の集団が、ダッカの街に自転車で繰り出した。参加者はほとんどが外国人だったが、バングラデシュ人も何人か はいた。 この自転車ツーリングは、最近誕生したArohi(アローヒと読み、ベンガル語で「乗る人」を意味し、語源はサンスクリットで統率力を意味する「アーロハ ナ」からきている)という名のグループが主催したもので、今回が彼らの初乗りだった。


  初めてこの自転車ツーリングのことを聞いたとき、私は参加するつもりはなかった。もう何年も、ダッカで自転車に乗っていない。この街の交通事情は実にむ ちゃくちゃなもので、仮にスイスイ動けるようなときでも、運転手のスピードや威圧的な態度をみていると、自転車の上で無防備でいるのが恐ろしくなるのだ。 数人の仲間とダッカ大学のキャンパスまでサイクリングして、友人宅で朝食を食べてから、帰りはバスや車の間をくぐりぬけながら家まで競走、そんな穏やかな金曜の朝を過ごしたのはとうの昔のことだ。

  けれど、今回の自転車ツーリングの主催者の情熱と、話を聞いた女性サイクリストたちの実に熱心な姿に圧倒され、結局私も、自分の赤い折りたたみ自転車 と共に参加することに同意した。とにかく、大勢だし目立つという点で、安全だ。当日の午前9時、若い女性の集団がWBBオフィスの前に集まり、そこで自転 車を借りた。それから皆でとあるアートギャラリーまで向かったのだが、そこで更なる女性と自転車の集団をみつけたときは嬉しかった。国籍も、言語も、服の 着方もバラバラな30人程だったが、皆が乗ることに熱意を抱いていた。

  目的地であるダッカ大学のモニュメントまでの道中、いくつかやっかいな地点も通り抜けなければならなかった。私は乗っているうちにだんだんと自信がついてきて、乗用車や人力車の間を楽しく巧みに自転車を走らせていた(バスについては避けるだけで精一杯で楽しむ余裕はなかった・・・ダッカのバス運転手は人命というものをほとんど尊重していないようだ)。
  一般道路を走ることに慣れていない参加者にとってはそんなに気持ちの良い経験ではなかったことだろう。それ でも、周りは笑顔で溢れていた。私は、自転車の上で踊っている自分に気付いた。私は脚を蹴り出し、手を振りながら、スローガンを叫んでいた―女性も自転車 に乗るぞ!(ダッカ含めバングラデシュの各地では、女性が自転車に乗る行為は受け入れられていないのだ)サイクリングは自由だ!サイクリングは喜びだ!私 たちが交通をつくっている!―と。

  冷静でいるのが難しいほど、場全体に元気がみなぎっていた。私たちが自転車訓練プログラムで教えた若いバングラデシュ人の女性は、「次はいつやるの?」と興奮していた。帰路の途中、私は人通りのないまっすぐで平坦な長い道を走っていた。私は上下に激しく身を揺らしながら疾走し、アドレナリンと、脚と肺にみなぎる力を楽しんでいた。今では、残念だが本物の代わりとしてのステーショナリーバイクしか乗らなくなったが、その自転車に乗っていたつまらない日々は、全て今日の刺 激的な瞬間のための練習だったかのように感じた。

  私はもっと欲しくなった。自転車に乗ることを日課にしたくなった。街は狭まるだろう。今までめったに行かなかった場所や訪れたことのない場所がアクセス可能になるのだ。エクササイズだって楽しくなるし、今のように余分な時間をとられないだろう。それらは全て自分勝手な動機だが、今回の自転車ツーリングを主催したグループはもっと深いミッションを持っていた。
 Arohiは、バングラデシュの女性へのサイクリング普及を呼びかけているのだ。彼らは、女性が自転車に乗ることに対するスティグマを壊したいと願っている。彼らは、女性が移動できる自由が普及することを 願っている。低所得の女性たちにとって、どこへ行くにも歩かなければならないがためにかかる時間や、バスに必要な運賃やその乗り心地の悪さは負担しきれな い。そんな彼らにとって、自転車に乗れるということには大きな意味がある。私にとっては単なるリクリエーションと楽しみであることが、多くの女性にとって はモビリティと自由への第一歩なのだ。

 私はArohiがそのゴールまで辿りつくことを願っている。女性にとって世界を変えるだけでなく、ダッカで安全に自転車に乗れるような環境づくりを求めるその存在は、誰しもが安全なサイクリングをできる世界へと導いてくれるだろう。

–Debra Efroymson

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