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フィリピンのクラシック文化?~UUUプロジェクトの挑戦~

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野口彰英 フィリピン、セブ
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2012-01-03
 

1.クラシックの作曲家と言えば・・・ 

 ある時フィリピンの子ども達に、「知っているクラシックの音楽家の名前を言ってみて?」と尋ねると、予想外の答えが返ってきました。

 『マイケルジャクソン!』


 皆さんはアジアの途上国の学校教育と聞くと、どのような光景を想像されるでしょうか。フィリピンでは、小学校6年、高校4年、大学4年の計14年の学校教育が整えられています。概して識字率も高く、英語も公用語とされて国内で広く通用するため、教育水準は比較的高いと評価されることが多いようです。

 しかし、家庭の貧しさが原因で、就学年数が長くなるほど退学率が高くなる現実も、この国の教育現場の特徴です。さて、このような国で情操教育がいかに施されているか、皆さんはご存知でしょうか?

 例えば音楽の授業です。日本では合唱や器楽合奏、クラシック音楽の鑑賞などを経験した方が多いと思います。一方、フィリピンでは【音楽】という独立した科目は存在しません。“MAPE”と呼ばれる、保健体育と音楽がいわば合体した科目として、カリキュラムに組み込まれているのです。

 ボクシングやバスケットボールなど、庶民にもスポーツは広く愛されていますが、音楽と言えば専ら洋楽系ポップスを意味するフィリピン。授業中も、生徒みんなでダンスをしたり歌を歌ったりという場面はありますが、高度な知識をもって音楽指導に当たることのできる教育者も少なく、なかなか「情操教育」としての音楽教育には至っていないのが実情です。

2.セブ島のオーケストラ 

 その美しいビーチに魅かれて日本人観光客も訪れることの多いリゾート、セブ島。本稿を執筆させて頂いている私、野口彰英は、同地にカレッジを置くフィリピン大学にて文化政策を学びながら、上に述べたような教育現場を目の当たりにしてきました。
 
 実はセブにも以前はオーケストラが存在していました。Cebu Youth Symphony Orchestraと呼ばれたその団体も、子ども達の心豊かな成長を願った同地出身ピアニストSarah Ingrit氏により、地元の児童を集めて結成され、約10年間、活動を続けていました。
 しかしメンバーの高齢化に伴い、楽団は自然消滅。在籍していたメンバーは演奏機会を求め国内外に散り散りに。そんなセブに2011年5月、嬉しいニュースが届きました。元CYSOメンバーを中心とした新たなオーケストラCebu Symphony Orchestraが誕生したのです。

3.音楽で子ども達を救うベネズエラの挑戦

 所変わって南米ベネズエラ。同じく途上国の一つと数えられる同国では、貧困と犯罪の問題を解決するためのアプローチとして国中の子ども達のための無料音楽教育に取り組んでいます。
 既に40万人近い若者にオーケストラでの演奏機会を与え、コミュニティの健全化に成功したばかりでなく、21世紀を代表する世界的なオーケストラ、演奏家達も数多く輩出し、「欧米先進国ばかりが高い文化水準を享受できる」という幻想を見事に打ち破る結果となりました。

 フィリピンの中でも、芸術文化レベルで特に首都圏に遅れをとる地方都市セブ。この地でベネズエラの奇跡を再現したい。クラシックに興味をもつ機会さえ十分に与えられていない現地の子ども達に、音楽を通して新しい発見と貧しい生活から抜け出す希望を与えたい。そんな想いを抱いていた私は、CSOの誕生という好機を逃してはいけないと咄嗟に感じました。そして、豊かな芸術文化に接することの出来る私たち日本人だからこそ、今後のセブの芸術文化の発展を応援していきたいと思い、このプロジェクトを立ち上げました。

4.セブ島の子ども達にクラシックコンサートを!UUUプロジェクト

 ”Music Unites the World(音楽は世界を繋ぐ)”、のイニシャルをもじってUUU(トリプルユー)と名付けたこのプロジェクト。子ども達にクラシックの素晴らしさを伝え、音楽という新しい視点で日本とフィリピンの国際協力を進めるべく、日本全国から募った大学生18名による吹奏楽バンドを結成し、セブ島各地でコンサートを開催するほか、メインプログラムとしてCSOとの合同オーケストラコンサートも行うことが決まりました。


 それぞれのコンサートにはセブ島の子ども達を無料で招待し、子ども達にも打楽器や風船などをプレゼントして、一緒に大合奏を作り上げます。さらに、私たちの滞在の後も、セブにクラシック文化が根付いていくよう、教育活動にも力を入れて取り組みます。

 現地での活動は2月15日からの1週間です。残りの1ヶ月半、本番の日までのプロジェクト進行状況を、レアリゼで報告してゆきますので、皆さん応援のほど、よろしくお願い致します!

 次回は、セブの人々の気質と、クラシック教育がセブ社会に与えうるインパクトについて、お話したいと思います。(つづく)


 *プロジェクトの詳細は公式ホームページ(http://uuuprojectcs.web.fc2.com/)、Facebookのファンページ(http://on.fb.me/uW9UuE)をご覧ください。
 *UUUでは、子ども達との交流活動のために必要な資金を皆様に応援して頂きたく思っています。夢応援サイトMyStand(http://bit.ly/rTwi7W)より500円からのご支援を受け付けておりますので、よろしくお願い致します。


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