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エモーショナル・インテリジェンス~カリフォルニア・ダイバーシティ Vol.2~

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飯田恵子 東京都 飯田恵子 東京都
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2007-08-04
 

エモーショナル・インテリジェンスとは

 人は、自分と全く異質な人物や文化に遭遇した時にどのような反応をするのか。あるいはどのような反応をすべきなのか・・・。
 自身の反応や言動次第で、相手を気持ち良く動かすこともできれば、逆に相手を傷つけ、最終的に自分も傷つくこともある。

 こんなことをじっくり考えたことがあるだろうか。

 今回は、カリフォルニアのトップリーダーに必須の資質とされている「エモーショナル・インテリジェンス(以下、EI)」の講習会に参加した時の模様を紹介したい。

***



 EIは、日本では「心の知能指数(EQ)」という呼び方をされることが多いが、簡単に言うと、「対人能力の高さ」のことである。多様性を尊ぶ米国の大企業や多国籍企業の間では従前から広く取り入れられている概念であるが、最近は一部の日本の企業でも入社試験や管理職昇級試験等にこの概念が取り入れられるようになりつつある。

 特にあらゆる人種や文化が混在し、様々な場面で異文化理解やダイバーシティ(多様性)の尊重が重要視されるカリフォルニアでは、EIに関する研修や講習会が盛んで、組織の経営者には特に高いEIレベルが要求されている。

 この通常のEIに、更にカリフォルニア州の持つ特殊な文化や社会事情を加えたカリフォルニアEI講習会が、先日各企業や政府の人事管理・経営者を対象に、始業前の早朝1時間を利用して、軽いパワーブレックファーストとともに実施された。

[当日のEI講習会の様子]



 この講習会を担当したのは、「EIと多様性に関する研究所(Emotional Intelligence and Diversity Institute)」という非営利組織で、EIや多様性の問題に積極的に取り組む多国籍企業の一つであるユニバーサル・スタジオ・ハリウッド内の研修ルームを使用して行われた。 

 通常このカリフォルニア型EI講習会は、5日間かけて行われるが、今回はイントロダクションの1時間コースということで、まず全体の講習内容の紹介と目的等の概要説明の後、実際に参加者がグループに分かれて簡単な実践を行った。

 その内容を具体的に説明すると、参加者全員に以下の4分野にカテゴライズされた質問用紙が配布され、それぞれ「個人」「所属部署」「所属組織」の3つの点から採点・分析をし、必要な改善の重点がどこにあるのかを見極める作業を行った。

(1) 積極的な自己分析(Affirmative Introspection)
(2) 自己制御(Self Governance)
(3) 異質なものに対する理解(Intercultural Literacy)
(4) 社交性の構築(Social Architecting)

  例えば、「英語の他に使用する言語はありますか?それは何種類ですか?」「米国籍以外の人が働いている割合はどの位ですか?」「仕事は主にトップダウン方式ですか?それともボトムアップ方式ですか?」「所属組織外の人とどの位の頻度で一緒に仕事をしますか?」「職場内でダイバーシティやEIに関するミーティングや講習会はありますか?」等々の質問をそれぞれ数値化して答えていくのである。

 その後、分析を通じて見えてきた各々の弱点について、具体的に取り上げて、どのように改善していくべきかを参加者全体で話し合って知恵を出し合ったり、講師から具体的な対処法が提案されたりした。

 例えば、分析から他のエスニックとの交流がほとんど無いことが明らかになり、「職場内で同じエスニック同士で固まってしまっていて、時に職場の雰囲気が悪化したりしている。」という具体的な問題を抱える参加者に対して、他の参加者から「我が社では、各エスニックが自分達の文化を他の職員の人に紹介する料理や音楽に関する交流イベントの予算や時間を会社側が提供しており、こうした交流を始めてから非常に雰囲気が改善された。」という事例等が挙げられたりした。

 以上のように、基本的には参加者主体によるケーススタディやシミュレーション等を通じて自然とEIを情報体系的・実地体験的に習得していくという手法が採られた。

***



 講習会後、印象に残ったことは、「EIレベルを高めるにあたって重要なのは、常に心を客観的かつ柔軟に保ち、相手に共感し、理解しようとすることである。」ということだった。

 また、EIは聞いて理解するという一方向の能力だけではなく、それを受けて自分の意見を上手に相手に伝え、最終的に相互が理解し合うという双方向型のコミュニケーション能力が重要になってくる。その意味で、アメリカ人の経営者や幹部は、パワフルで自己表現も長けており、非常にEIレベルが高いと感じた。

 早朝7時というスタート時間にも関わらず、活発に手を挙げて発言する参加者。相槌を打ったり、拍手をしたりしながら、その話に対する自分の意見をよどみなく述べる他の参加者。参加者同士の議論の方向を注意深く聞きつつ、タイミングよく話を展開していく講師。
 彼らのテンポについていけず、結局会議で一言も発言できなかった自分のEIレベルの低さを反省するとともに、「自分のことを相手に理解してもらう努力と、その表現方法を学ぶ」という双方向のコミュニケーション能力を身につけることの重要性を改めて痛感した講習会でもあった。

 よく国際会議の場等で「3S(スリープ、スマイル、サイレンス)」と揶揄される日本人であるが、今後のグローバル化がすすむ中で、ぜひともEIや多様性に関する知識や能力を高めていく必要があるのではないかと思う次第である。


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