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ナバホ国からのメッセージ 大地と共に生きる 第6話 

~ ピースメイキング ステップ 4. 問題解決の提案事項を発展させる ~

leader from from
day
2007-06-30
 

 今回はピースメイキングのステップ 4. 「問題解決の提案事項を発展させる」について話していこうと思う。
 去年、私はナバホ父と一緒に、2日間のピースメイキング・セッションに参加した。そのときの参加者はナバホだけではなく、白人や他の部族の人たちもいて、議題は環境問題についてだった。

 初日の朝、セッションの始まる前にナバホ父は私にこんなことを言った。
 「今日と明日のセッションの主催者は、大企業の幹部だ。議題は環境問題ということになっているが、企業側の本当の目的は、良い生活を提供するために自然破壊は必要不可欠だということを、俺たちネイティブに説得することだろう。初日の今日、俺は何も発言せず、様子を静観することにしようと思う」と。

 セッションが始まった。表向きは和やかなのだが、父が話していた通り、企業側だけが意見を押し通す、あるいは説得を試みるという、一方的な会合になっていた。

 初日、父は本当に何も発言せず、様子をみていた。参加者ははっきり2つのグループに分かれていた。企業側の意見を主張する白人チームと、開発を阻止しようとする部族チームだった。1人1人の表情を観察すると、発言したくても場の空気が恐ろしくて発言できないでいる人達がたくさんいることが分かる。

 2日目の午前中も、場の空気は初日と同じ、あるいはさらに悪化していた。

 午後になって、ようやく父が発言した。「ここでもう一度、この会合の目的を考えてみましょう。私達は誰かをけなしたり、非難したりするために、ここに集まっているのではないはずです」

 それから父はこう付け加えた。
 「皆さんもお気づきの通り、今、この会合の空気は非常に悪くなっています。ここからはルールを守りましょう。誰かが発言しているときは、最後までその人の意見を聞き入れること。意見を言い始めても、すぐに威圧的に言いくるめられてしまうのでは、良い意見も出なくなってしまいます」

 この意見を皮切りに、場の空気が明らかに変化した。各人が落ち着いて意見を発言できるようになると、話し合いはどんどん具体的になり、前向きな提案が出されるようになった。会合が終わる頃になると、場の空気は非常に和んでおり、笑いも起こるようになっていた。そして、今回出た提案事項は各人それぞれがコミュニティに持ち帰って再度検討し、後日また改めてこのメンバーでその報告をするということで話がまとまった。

 会合が終わる前、父は閉会の祈りを依頼された。

 それまで私達は机を「コ」の字型に配置して、その後ろのイスに座っていたのだが、父の指示により、参加者は全員中央に出てきて、輪になって立つことになった。それから、誰の指示でもなく、自然と私達は隣の人と手をつなぎ合った。そうすることで、参加者の心がぐっと近づいた。

 父はクリスタルを皆に見せながら、こんな話をした。
 
 クリスタルを覗き込むとき、その角度や方向によって、中に入っている景色が違って見える。これは人間の考え方にも当てはまる。異なる考え方のうち、どれが良いとか悪いとかを判断して、即座に非難することは決して正しいとは言えない。

 どの考え方も意見も大切で、それらを分かち合うことでまた新たな発見があるかもしれない。今回の会合で、私達も同じことを経験した。見え方が違うからといってただ非難するだけだったのをやめて、違う見え方をする人に耳を傾けて、そのような見方があることを理解しようと態度を切り替えた。そうすることによって、こんなにも多くの新しい提案事項が出てきた。

 父はこんな風に締めくくった。
 「これから皆さんは今回の提案事項をコミュニティに持ち帰り、今回と同じように会合を開くことになります。そのときにはどうか、今日経験したことを生かしてみてください。次の会合では、皆さん自身がピースメイカーとなり、リーダーとなるのです」(つづく)


ナバホ国からのメッセージ 大地と共に生きる 第7話
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ナバホ国からのメッセージ 大地と共に生きる 第3話 
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