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ナチュラルハウスを創る Vol.5 ~家の置き場所 ~

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小井沼有嗣 アメリカ 小井沼有嗣 アメリカ
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2007-02-10
 

 2001年初夏、土地の購入手続きも終わり、我々は勇んで建築にとりかかることにしました。 当時住んでいたオースティン市内のアパートから40分ほどのところですが、むろん土地の上にはまだ住む場所がないので通って建築することにしました。 数ヶ月分くらいはアパートの家賃を払いながらでもやっていける予算があったので、ドライブは大変ですが、この体制でやっていく他はないという結論になったわけです。

 さて、サッカー場8つ分もある広大な土地ですが、購入した段階で、だいたいどの辺が理想的な家の場所か目安がついていました。 土地は南北に長い長方形の形をしていましたが、北東の端にゲートがあり、そこから舗装されていないドライブウェイ(自動車用の道)が土地の真ん中あたりまで来ていましたので、その近くに家を建てることになりました。 基本的には草原なので木など切り払わなくても、小さな家を建てるくらいの隙間はかなりありました。

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 家の置き場所、デザインを考えるときに考慮しなくてはいけないのがパーマカルチャー(Permaculture)です。 パーマネント(Permanent)とカルチャー(Culture)をくっ付けたこの造語はまだ日本語には正確な訳がないようですが、自然を最大限に利用また尊重し、なおかつ共存していくために効率のいい建物または園芸の仕組みを、デザイン・構築する学問で、アメリカでは進歩的な生き方を追求する人々の中にはかなり浸透している知識です。 日本語でもHPがありますので参考にして下さい。(http://www.pccj.net/)

 我が家を例にしますと、テキサス州ではやはりなんといっても暑さが問題ですから、その対策を考慮しなければなりません。 この地域はたいてい南東から風が吹いていることが多く、またうちの土地には池がありますので、風が池の上を通って家に届くような場所に、その風に面する方向で建物を建てると風力を利用して家を涼しくすることができます。

 また、特に暑い西日を極力避けるため、大きな木の北東に家を建てることにより、一番暑い時間帯に家がその木の日陰に入るようにすることも考えました。 さらに、理想としては土地の高いところ(平原とはいっても全く平らではありませんから)に建てると水はけもよくなります。 

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 また建て場所と同時に考えなければいけないのは家のサイズ、またデザインです。 我々がワークショップで体験した建物は約100平方フィート(約9平方メートル)という物置用の小さな小屋でした。 ワークショップでのデザインの講義では、自分の生活パターンを分析して必要最小限の空間を測る方法を学びましたので、それと自分たちの許容範囲なども考慮し、我々は最初に450平方フィート(約40.5平方メートル)の建物をデザインしました。 紙に書くことはもちろん、粘土を買ってきて実際にミニチュアも作ってみたりしました。

もちろん素人がデザインしたわけですから本当にいい建物になるのか、その辺の感覚が掴めません。 が、コブというその存在すらまだ知らない建築業者達も多い手法ですから、「そんな馬鹿なことを」と言われるのを恐れた我々は普通の建築家には相談せず、いわゆるナチュラル・ハウス専門の業者を探し、相談することにしました。

 オースティンはテキサスの中でも例外的に進歩的な街ですが、コブに精通している人は少ないようで、オースティンのナチュラル・ビルディングに興味を持つ人々の集まる会であるSustainable Building Coalition(SBC)という団体を通して問い合わせてみましたが、近辺にはそれに該当する業者は2人しかいないことが判明しました。

 一人はSBCのリーダーの一人で女性の設計士でしたが、彼女の方は問い合わせに(もちろん無償でと頼んだわけではなく、コンサルタントとしてお願いしたのですが)、はっきりとした返事はしてくれず、協力に消去的な印象でした。

 もう一人は実際にコブを建てた経験のある建築家の方でしたが、この方も実に捕まえるのが難しく、電話で話して幾つか単発的に有意義なアドバイスはしてくれたものの、実際に会ってデザインを見ながら検討してくれるという貢献はしてくれませんでした。 コブという新しい手法に取り組んでいる我々を応援してくれるものだと思っていた我々はサポートのなさに正直落胆したものです。 

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 最終的には、友人が「最初から大きな家を建てるのではなくて、練習用に小さな小屋と建て、そこに住んでから本家に取り掛かったら」と提案したのをきっかけに、小さな200平方フィート(約18平方メートル)の小屋に取り組むことにしました。 ワークショップでは大勢の人がいたとはいえ100平方フィートの建物が土台だけだったところから屋根をとりつけるところまで一週間で進みましたし、我々も独自にワークショップを企画して壁作りなど他の人と一緒にやろうと考えていたので、200平方フィートの家は一シーズン、3、4ヶ月で建つものと考えていました。

 最初は小さな旗をたくさん購入して家の建ちそうなところに片っ端から立てていき、それを回っては、そこからどういう印象を受けるか、という段取りで始めましたが、デザインも決まりパーマカルチャーも考慮に入れると、すぐ候補は絞られました。 最終的には一番理想的な場所を「本家」のためにとっておくため、そのすぐ南側に最初の小屋を建てることに決めました。 ついに建築を始める段取りが整ったのです 。(つづく)


ナチュラルハウスを創る Vol.4~土地を探す ~
ナチュラルハウスを創る Vol.8 ~屋根の枠組み~
ナチュラルハウスを創る Vol.7 ~コブの壁 ~
ナチュラルハウスを創る Vol.6 ~土台~
ナチュラルハウスを創る Vol.3 ~コブハウスとは ~
ナチュラルハウスを創る Vol.2 ~コブハウス・ワークショップでの体験 ~
ナチュラルハウスを創る Vol.1 ~日本人オーナー・ビルダーがテキサス州で面した現実 ~

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