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東ティモールにアクセサリー工房を (2)

今テレサ崇子さんインタビュー

leader from from
三沢健直 松本市
day
2003-09-20
 

Q4:トラブルはありませんでしたか?

 ありましたね。「60人も応募があって落ちた人もいる。嫉妬に気をつけて」とは言われていたのです。でも教室が暗いので窓を開けていた。すると村の人が暇なので、ギャラリーがたくさん集まって窓から覗いている。多少煩わしいけど、そのまま最初の3日間やったら、ある日、椅子を全部盗まれました。部屋の鍵はついていたけど、窓に木枠しかなかったので、それをはずして。多分、目立ちすぎたのだと思います。一脚5ドルの10脚で、ちょうど50ドル弁償しました。セキュリティの係りの人も弁償して可哀相でしたね。

Q5:実際の生産はいつから始まったのでしょう?

 この8月の渡航はトレーニングでした。私自身、彼等とやれるか試す期間が必要だったし、彼等のキャパシティーを確かめる必要性もありましたので。トレーニングの作品をサンプルとして見ていただき、それで発注をもらう計画でした。帰国して、初めて原価計算という作業をしました。一人が一日に可能な生産量から出来高を算出して、それに一日の平均生活費(その当時は1$)、プラス材料費、運搬費、場所代などで原価がでてくるわけです。数百円の原価の中に活動の思いをこめる地道なものでした。計画をたて、とうとう第三世界ショップから約1000点の発注をいただくことができました。

 2002年の12月に3回目となる渡航を果たしました。今度は商品を実際に仕事として製作するためです。このときはワーカーに共有のスケジュール帳を持たせて、「何日までにいくつ作らないといけない」と見せながら、支払うときは「あなたはいくつ作ったから幾らですね」と慎重にやりとりしました。お金に関して良い信頼関係ができるかどうか緊張の時でした。ワーカーの経験が役立ちましたね。だいたい職人は満足しないものですが、彼等に愚痴られても、次の夢を共に語ることで解消できました。

 しかし結局、私の渡航中は予定の半分しか商品が出来なかった。彼等の能力を過信していたところもあったのです。(15人のワーカーの内、家族が病気で家庭から離れられない人が2人、別の仕事を見つけた人2人、遠くの村に帰ってしまった人1人。)それで1月末日までに完成して郵送してくれるように頼んで、残りの代金と郵送料を置いて帰国しました。それがいつまでたっても着かない。実は今でも後悔しているのですが、そのとき、まめに郵便局で調べなかった。「どうせ来ないよ」って人からも言われていたし、私自身もそう思ってしまっていた。でも後で調べたら宛名の書き方が悪くて、近くの郵便局まで来ていたのに宛先不明(少々スペルが違っていた)で東ティモールに返されていたんです。もっと信じてあげればよかった。それが残念です。

Q6:収益は上がりましたか?

 キャパを多めに考えてしまったので、赤字でした。「無理でした」と言って、融資分を返してしまうのは楽だけど、もう「次の秋冬物を提案してください」と言われて、どんどん後押しされるので、「やろう」という気になってしまいます。今のところ慈善とビジネスの間で、行ったりきたりと言う感じです。私が現地に行かなければ利益が出るのですが、郵便のシステムにリスクを感じて、結局材料を持って行きました。だから今のところ利益はないです。


Q7.ワーカーたちに変化はありましたか?

 給与によって信頼を得ると同時に、仕事へのさらなる欲求も生まれました。定期的に仕事が無い事は、3人(内2人は既婚)の男性ワーカーには不安で不名誉なことです。でも皆、私のリスクも承知してくれて、仕事がないときは、畑仕事や人の家作りの手伝いをしながら、いつでも私が来るのを待っていると約束してくれました。

 2002年のクリスマスに記念すべき初給料を渡しました。給料は出来高で各々格差があるので、個別に明細とともに慎重に渡しました。ワーカーは後で見せあったりしていましたが、各自納得してくれたようです。

 約10人が平均20ドルから50ドル。彼等にそのお金でUNICEFエスペランサの各語学講座やパソコン教室(1ヶ月6ドル)を受講するようにアドバイスしました。彼等のスキルアップとエスペランサの発展を促したかったのです。でも給料日の数日後に使い道を尋ねると、クリスマスの新しい洋服を買ったとの答え。微笑ましいのですが、ちょっと刹那的でがっかりです。本当は、定期的に仕事を与え、彼等が貯蓄もできて、子供の教育資金などに当てる余裕ができるのが理想なのですが。いつもは買えないお菓子や魚や石鹸を自分や家族の為に購入して、使ってしまったようです。

 最近、彼らに職人としての威厳がでてきた感じがします。自分たちがあってこそ、と言う感じになってきた。作り方はこのほうがいいなどと提案してくる。そんなときはアイディアを買ってあげるんです。


東ティモールにアクセサリー工房を (3)
東ティモールにアクセサリー工房を (1)

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