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2009-09-13 (日)

パームオイル需要の増加が招く森林破壊

カテゴリー:ニュース

ワールドウォッチ「インドネシアのパームオイルの難問」(抄訳)

http://www.worldwatch.org/node/6087?emc=el&m=234870&l=6&v=1bb1360a27
  
Part 1: パームオイル需要の増加が招く森林破壊
  
2009.4.10 Ben Block
パームオイルの価格は2008年の食糧危機の恩恵を受け、昨年春には1トン当たり1000ドルまで高騰した。年末までにはその56%まで下がり、パームオイル産業に打撃を与えたが、中国、インド、中東などが、これまで以上にパームオイルを購入し続けると考えられている。
  
RSPOのTim Kileen氏によれば「価格の下落は一時的な現象。広大なヨーロッパの市場を持つエネルギー企業から多くの需要がある」
  
インドネシアはパームオイルの需要喚起のため、昨年、国内のトラックや乗用車の燃料にエタノールかパームオイルディーゼルを混ぜることを要求するバイオ燃料指令を可決した。
  
インドネシアのパームオイル生産量はこの10年で1100万トン近くも増え、2006年にインドネシアを抜いて世界一となった。
  
こうしたパームオイルプランテーションの拡大で、絶滅危惧種の生息地が失われる。また、泥炭地の熱帯林は湿度が高く、有機物が分解しにくいため、高い濃度で炭素が蓄積している。ここをパームオイルプランテーションに変えれば、膨大な二酸化炭素が排出される。
  
Kileen氏によれば、こうした懸念にも関らずインドネシア政府がパームオイルプランテーションの拡大を唱えるのは6月の大統領選をにらんでのことと考えられる。
  
国際的な懸念を受け、世界のビジネスリーダーも持続可能なパームオイル生産を求め始めた。インドネシアでは産業界のリーダーは公式には熱帯雨林ではなく 「遊休地」でパームオイルプランテーションを生産すると述べているが、WWFインドネシアのMubariq Ahmad氏は、まだ真剣な政治的意志は見られず、楽観は出来ないとしている。
  
Part 2: オイルパーム企業に奪われる土地、契約、生活
2009.4.16 Ben Block
 
大規模なオイルパームプランテーションに隠れがちだが、小農もパームオイル産業の活況に貢献している。政府は補助金を出して小規模な生産地の周囲に大規 模な商業施設を運行させた。この政策は、およそ1500万人のインドネシア人を支援することになり、インドネシアのパームオイル農園開発の半分近くに影響 している。
  
しかし小規模農家のコミュニティの調査によると、これらの農家はしばしば、ローンの支払いを巡って争っている。調査報告によれば、農家は実質的に負債で 契約付きの奴隷となっている。また、地方政府は不正に先住民の土地を獲得していると告発されている。土地の所有権を失ったコミュニティはパームオイルを受 け入れる以外にない。
  
世界的なパームオイルの需要増により、パームオイルは貧しいコミュニティが貧困から救われる機会となった。しかしプランテーションが手付かずの森に広がることは、更に多くの先住民の強制移住、土地や文化の破壊につながることが懸念されている。
  
小規模自作農の増加はオランダ植民地に始まりスハルト時代に拡大した、インドネシアの移民政策に基づいている。これは土地のない農民を人口密度の低いス マトラのような島に移住させる政策で、先住民と移民との間での紛争が生じた。この問題はオイルパーム農家では現在も続いている。
  
80年代初頭の土地改革で、地域住民は商用オイルパーム農園開発に彼らの土地のおよそ半分を提供するよう求められた。見返りに小規模農家には土地の約 40%(公式には2-3ha)の割り当てがあった。プランテーションは、小規模農家に苗木や肥料などを購入するための政府保証付きのローンを提供した。オ イルパームの結実には約7年かかるため、小規模農家はその間、しばしば日雇い労働者として雇用された。
  
環境歴史学者のLesley Potterによれば、小規模農家の多くは、彼らが返済に幾ら払わなければいけないかを知らされておらず、多くの人々が土地を諦めた。
オイルパーム製品の高騰で、土地所有者は負債から逃れられるかもしれない。Potterが2007年に訪れた村は非常に反映していたと言う。
しかし人権活動家はパームオイルの需要増で更に先住民の土地、地域コミュニティ、文化の解体が進むことを懸念している。
  
Potterによれば、政府の調整した委員会では、パームオイル業界側に立つような地域指導者が指名される。これまでの土地買収では、地域の指導者が企 業から賄賂を受けていたことで告発を受けている。Sawit WatchのNorman Jiwan氏によれば、インドネシア政府はコミュニティに分断を持ち込んで支配する、植民地的な政策をとっている。
  
オイルパームに関わる紛争は、2004年の200件から2007年の514件にまで増えている。こうした状況に世界的な注目も集まり、国連人権高等弁務 官事務所は、インドネシア大使に、オイルパーム農園の開発に際し、地域のコミュニティの所有権を保証するよう要求した。インドネシア政府は国連の懸念には 答えていないが、先住民が土地を失っていることは認めている。
  
Jiwan氏によれば、「地域コミュニティとの協力するよりも、不満の声をあげる人物を静かにしようとする企業もあり、拷問を受けた多くの人々がいる」と言う。
  
Part 3: 持続可能なパームオイルは森林破壊の速度を緩和させるか
Ben Block on April 24, 2009
 
昨年11月、マレーシアのユナイテッドプランテーションが最初の「持続可能な」パームオイルを出荷し、ユニリーバがそれを購入した。 インドネシアの企業も2月に1社認証を受け、少なくとも4つの企業が認証を待っている。
  
特にヨーロッパでは、新しいバイオ燃料政策で、バイオディーゼル原料についての厳しい基準が設けられたため、より多くの企業や政府が持続可能の基準に見合うパームオイルを求めている。
  
環境、社会への懸念に対し、2004年にWWFの呼びかけで設立されたのがRSPOである。
昨年は1500万トンのパームオイルが認証された。
認証された企業はまだ少数だが、インドネシアの村人やNGOは、コミュニティの処遇を改善する手段として、既にRSPOの基準を用い始めた。Sawit WatchのNorman Jiwanによれば「この基準を用いれば地域の先住民は企業の侵略を阻止できる」
  
しかしルールには必ず抜け穴がある。
RSPOでは「保護価値の高い森林」でなければ新規開発が出来るが、加盟団体はそれぞれの国の状況に応じて「価値の高さ」を解釈できる。
  
ルールを厳格にするため、RSPOは次のミーティングで、プランテーションが温室効果ガスをどれだけ排出するかによって評価するバイオマススタンダード の導入を検討している。この基準は、プランテーション予定地の森林の元々のバイオマスによって測られ、原生林や泥炭湿地は、高いランク付けがされる。 また、2005年以前に植えられたオイルパームは、基準の免除を受ける。パームオイルは植え付けから収穫までに約7年かかるので、最近認証を受けたオイル は「保護価値の高い森林」の基準をクリアしていないことになる。
  
グリーンピースインターナショナルやウェットランドインターナショナルなどの環境団体によれば、こうした抜け道のため、実際は基準を満たしていない企業がRSPOに加入して企業イメージを高めることが出来た。
ジャカルタのCenter for Orangutan ProtectionはRSPO認証そのものを批判。RSPO加盟企業がオランウータンやマレーグマなどの貴重な生物の生息地の森林を皆伐したことを報告している。
  
RSPOに参加する保護団体、コンサーベーションインターナショナルの代表Tim Kileenは「RSPOがコントロールしているのは基本的にヨーロッパ市場だけで、中国、インド、ベトナム、韓国などは気にしていない。RSPOが問題 を止められると期待してはいけない」と述べる。
  
米国農務省の Michael Sheanによれば、生産者が土地開発をすることよりも生産性を上げることに投資すべきだという。プランテーションで生産できるオイル平均4トン/haだが、比較的規模の大きな企業で、10トン/haの生産を上げるところもある。
しかし、プランテーション拡大への厳しい規制がなければ生産性向上へのインセンティブが働かない。
  
国際的なカーボンオフセットプログラムで、生産性向上に財政支援ができるという提案もある。
12月に開かれるコペンハーゲンの国連サミットでは、森林を傷つけなかった土地の所有者への支払いの導入が議論される。このREDD(森林破壊や森林劣 化による排出の削減)として知られるアプローチの詳細は未定義だが、インドネシアは国連、世界銀行の基金によるREDDのパイロットプロジェクトに応募し た。パイロットプロジェクトは森林破壊を防ぐオイルパームプランテーションが対象とされる可能性がある。
  
REDDを研究している保護団体のひとつThe Nature Conservancyは、炭素の国際価格が1トン当たり6ドル上がれば、インドネシアの森林保護がオイルパームの開発と競争力を持てるとしている。
  
炭素市場はRSPOの基準をより多くのオイルパームプランテーションに広げる可能性を持つが、REDDの成否はその資金がどのように使われるかにかかっている。

パームオイル・リサーチ・ユニット

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投稿者:伴昌彦  Comments: 0 Trackbacks: 0


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