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2010-01-23 (土)

フランスの子供手当て

カテゴリー:メンバー日記(世界の日常)

少子化対策は、欧州が先行しており参考になる。欧州の少子化対策は、主に1)子供のいる家庭に対する財政支援、2)保育制度の充実、3)教育費の軽減、4)ワーク・ライフ・バランス、5)「結婚」制度の多様化、などの総合的な政策だ。
  
欧州でも、子供関連の給付金がもっとも充実しているのはフランスである。フランスの特殊出生率は、1993年に1.63まで落ちたことがあるが、少子化対策によって上昇した。2008年は2.07となり、欧州でもっとも高い水準である。2008年の日本の特殊出生率は1.31だった。
これは上に挙げた五つの対策の総合的結果であり、給付金だけの効果ではない。とは言え、金額も手厚く、対象もきめ細かい給付金は印象的である。
  
有名なのは、1932年に創設された「家族手当」で、20歳未満の子供2人以上がいる家庭を対象とする手当である。子供2人の場合には、毎月123.92 €(約16,500円)、3人の場合は、282,70 €(約37,500円)、それ以上の場合は1人ごとに158.78 €(約21,079円)が支給される(2009年)。さらに、子供が11歳~16歳になると月34.86 €(約4,627円)、16歳~19歳までは61.96 €(約8,225円)が加算される。所得制限はなく、すべての家庭に支給される。
  
この他に、3歳以上の子供が3人以上いる場合には、家族補足手当が月161,29 €.(約21,000円)支給される。この手当てには所得制限がつくが、家族の形態に応じて年収450万~500万円程度が上限であるので、必ずしも低所得層だけでなく、多くの一般家庭が受給する。また、3歳未満の子供については、一律で177.95€(約23,606円)が支給される。これも所得制限があるが、やはり年収450万~500万円程度までは支給されるため、必要な家庭はほぼ受給可能である。この他にも、各種出生給付金や、一人親のための給付金、障害児のための給付金などもある。
さらに給付金の他にも、子供が多ければ多いほど優遇される税制度もある。また国鉄には、子供料金の他に、子供連れ割引がある。
  
ところで先日、OECDが日本の民主党政権に対し、所得制限なしの子供手当を見直すように提言した。欧州の少子化対策は、子供を作っても仕事に復帰できるような社会制度作りが基本であり、手厚い給付金もその一環として位置づけられる。保育サービスや労働の多様化を実現せずに給付金だけで少子化対策を行うのは、欧州の歴史と比較するとやや時代遅れの感は否めない。
  
これに対して民主党政権からは、「子供を社会全体で育てようとする社会作りだ」、という意見が聞かれる。この意見は、フランスを念頭に置いているのかもしれない。フランスでベビーカーを押してバスや電車に乗ろうとしたり、階段を上がろうとすれば、周りで気がついた人が、当然のこととして一緒に運んでくれる。電車の割引もあり、子連れで外出することのストレスが、日本より格段に低いのだ。日本において、とりわけ出生率が低いのが東京であることを考えると、子連れで外出するストレスの影響は、意外に大きそうだ。

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投稿者:三沢健直  Comments: 0 Trackbacks: 0


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