2010-05-30 (日)
尊厳死法案について
カテゴリー:メンバー日記(世界の日常)
民主党の桜井充議員が尊厳死法案(仮称)を提出すると、ALSに関するブログで知った。
「人に死ぬ権利があるか」というのは、哲学的あるいは宗教的な議論のテーマとして常に身近なものなのだが、尊厳死法案というのは、これらの議論とはまったく性質が違う。
特定の症状の人だけに尊厳死を認めるらしいが、自ら死を選ぶ権利のある症状と、その権利のない症状とを区別する合理的な線が存在するとは到底思えないのだ。
本人の意思を尊重すると言うなら、毎年自殺する3万人の人々に、病院での尊厳死の権利を与えなければならない。彼らとて「到底耐えられない苦しみ」から逃れるために死を選んでいることに違いはない。
むしろ、この法案が通れば、本人の苦しみ如何ではなく、家族が介護を負担に感じるような重い症状の人だけが、その「権利」を与えられ、その選択肢を選ぶように有形無形の圧力に屈して、自ら「尊厳死」を選ばされる可能性がある。
家族の負担を軽減するのは、本来「福祉」であるべきで、強制される「尊厳死」ではないはずではないのだろうか。